人間と動物の違いは何か?

☆ここにも「自然治癒力」のカエルがいる。隣りのランプがつくと暖かさを演出してくれる。
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 今から30年も前のお話。大学を卒業して初めて勤めた学校に、私が大好きだった先輩教師がいた。彼は、ある日、私にこんなことを質問した。「人間と動物で一番違う点は何か、わかりますか?」「それは、人間は困っている人を助けてあげることができるということなんだ。動物にはそれができない」そういう含蓄のあるお話をしてくださる先輩がいた。私は、この先輩から、立派な教師になるための、いろんな大切なことを教えていただいた。その中でも、この言葉は、先輩の人柄同様に、強く印象に残っており、30年もの歳月が経っているというのに、いまだにいっこうに色あせることがない。その後、私の人生は、大きく方向転換をしてしまったが、今でも、「困っている人がいれば、助けてあげよう」という気持は、全く変わっていない。いや変わらないというより、「この仕事ほど、困っている人を助けてあげられる仕事はない」と、自分では自負している。そういう意味で、私は、大変に幸せ者だと思っている。
 
 先日ブログの中で書いた、「指圧」の浪越徳治郎先生のスローガンを紹介させてもらった。「指圧のこころは、母ごころ。押せば生命(いのち)のいずみわく」は、指圧というものと、施術者のこころを的確に表現したものだ。ということでご紹介させてもらった。私は、今でも母親と子供の関係ほど強い絆で結ばれたものはないと思っている。これほど確かな関係はない。治療者は、患者さんにとっての「母親」にはなり得ないが、「信頼」という確かな関係を構築することはできると思っている。窮地に立たされた子供を見れば、ほっておけない地蔵菩薩のようなこころを持った治療家になりたい。というのが今の私の目標である。浪越先生がいわれる「いずみ」というのは、人体に宿る「生命力」。つまり「自然治癒力」そのものである。本当に、「指圧」には、枯れた大地から滲みでるような生命力をもたらす力がある。それは、不思議なくらいすごいパワーとエネルギーなのである。

 よくいわれる言葉であるが、「人間」というのは、「ひと」と「ひと」の「間(あいだ)」に存在としての価値がある。一人の人間ではどうすることもできないことが、二人以上の人をもって「成す」ことができる。そういうふうに仕組まれた存在らしい。日頃、患者さんと接しながら、実に一人の人間というのは弱いものだと思う。おそらく「肩こり」でも「腰痛」でも困った時には、自分ではどうすることもできない。自分以外の何者かに助けを求める。助けを求められたものが、それに答えてあげることで、そこに大切な絆が生まれる。だから、私はこの仕事を、お金には換えられない大切なものというふうに考えているのである。そして、更にいわせてもらえば、「困っている動物は、他の動物には救うことはできない。しかし、人間といえども誰でも人を助けてあげられるわけではない」治療という世界でいうならば、「限られた人にしか、人を助けてあげられないのが現実である」そこに、私たち「治療家」としての尊厳がある。と私は思っている。

 「指圧」というのは、誰にでもできるような、そう簡単なことではない。人間の体にあるといわれる「361個」のツボを正確に捉え、患者と治療者の「呼気」と「吸気」を自由自在に操る。そのくらいの最低限の知識や技能があってこそ、初めて、「限られた人」である資格をえられるのである。ただ、それでもまだ、私は不十分だと思っている。人の身体は、エネルギーそのものである。「治療者」は、患者の体が持つエネルギー以上のパワーのある存在でなければ、本当には、困っている患者さんを救うことができない。もし、「治療者」が自身のもっている知識と技能だけで「治療」という難局を乗り切ろうとしても乗り切れるものではない。それは、一長一短ではできるものではない。しかし、最低限、「助けて差し上げたい」という思いだけは、誰よりも強くもっている必要があると思う。人の思い=「想念」は、すごいパワーとエネルギーを秘めている。その思いが強ければ強いほど、膨大な「パワー」となって「患者さん」の身体に作用をもたらすのである。おそらく浪越徳治郎先生が、「指圧のこころは、母ごころ」といったのは、そうした想念のパワーとエネルギーの存在を認めていたからこそ、そんなふうに言葉で表現されたのだと思う。そういう意味で治療者には、「母ごころ」が、必要なのかもしれない。


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by yakura89 | 2009-07-21 15:30 | あん摩マッサージ指圧 | Trackback | Comments(0)
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