薬が治せなくさせている

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朝日新聞2月7日 

長く残る痛みに新薬 神経をしずめ脳への伝達抑える
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悩む人は推定500万人


 この見出しからすると「痛みが長く続くことがあり、神経の異常などが原因のようだ」と悩み考える人が推定500万人もいるというわけですね。確かに、体の痛みに苦しむ人は多いです。しかもそれが、長く患うと人間は弱いですから、本当に気が滅入ってしまいます。とても苦しいから、ワラをもすがる思いで、「何でもいいから、この痛みを取ってくれたら、何でもする」と考えるのは、当たり前のことだと思います。しかし、この考え方には重大な落とし穴があるのです。しかも、人を助けるはずのお医者さんが、このような薬を容認するようでは、やっぱり、「医療の重大な過失」といわざるを得ません。

 実は、わたしのところへも、痛みに苦しむ患者さんは、大勢きます。そして、「抹消(まっしょう)性神経障害性疼痛治療薬」、通称「リリカ」を処方される患者さんもたくさんいます。でもこれって、本当にいいのでしょうか?リンクしてある朝日新聞の記事のなかに「リリカが痛みを抑える仕組み」の図が描かれています。「末梢神経」とは、脊柱からでている神経のことです。末梢神経には「体制神経」といって中枢にむかう「感覚神経」と抹消にむかう「運動神経」があります。その図は、その「感覚神経」のシナプスといって神経繊維と神経繊維をつなぐジョイントの部分だと思ってください。このように神経伝達物質により痛みの感覚は伝達されます。この先に何があるかわかりますか。実はこの遠い先には、脳があるのです。このようにわたしたちの感覚神経は、体が感じている「痛み」の感覚をわたしたちの脳に伝えているのです。つまり、感覚神経としては、間違いなく正常な働きです。

 もしこういう感覚が伝達されないと、わたしたちの体はどうなるかご存知ですか。それは大変危険なことが起こりうる可能性があります。以前テレビかなにかで、感覚神経障害の無痛症といって痛みをまったく感じない人についてやっていました。熱さ、寒さも感じない人がどんなに生活に危険を強いられるかよくわかりました。やけどをしても平気、凍傷にあってもわからない、当然、体中は傷だらけ、骨折はするし。さんざんな生命の危険を強いられていました。わたしたちの体に、これといって無駄なものはありません。わたしたちの体は、ほとんど完璧そのものなのです。だから、たとえいやだなあと思ている体の痛みさえも、そこには大きな意味があるのです。

 例えば、肩こり腰痛などの痛みや拘縮を考えてみましょう。どうしてこのようなことが、わたしたちの体におこるのでしょうか。疲れているとき、無理しているとき。何かつらいことやショックなことがあって、こころと身体にストレスを感じているときなどです。筋肉はこういう時に、拘縮することで、動けない身体にさせます。また、痛みは、動くたびに襲ってくるので、自然に活動にブレーキをかけています。つまり、「動いてはいけない」休養が必要であること。「無理をしてはいけない」そういうメッセージが体から届いています。もしそれが、こころの問題だとするならば、あなたの感じ方、考え方を根本的に見直し、考えさせるように、要求させられているのかもしれません。このように、何か大切な深い意味があってのことなのです。わたしたちは、知らず知らず、無理を重ねます。それがどんなに自分にとって大切なことだと思われても、あなたの身体以上に大切なものはありません。ところがその大切な身体も「健康」という二文字が失われ「病気」にならない限りほとんどの人が気がつかないのです。いや気づこうともしないのです。

 ところで、わたしたち治療家が患者さんの身体を治療しようとする時に、大切なものがあります。それはまず第一に感覚神経なのです。特にその中で「痛い」という感覚は、最も大切な治療の手がかりになるものです。これまでの臨床からみて、患者さんの多くは、どこがどのように悪いのか、ほとんどわかってはいません。前にこのブログで、「痛みは優先順位をつけている」というような記事を書かせてもらいました。本当にそうなのです。痛みは、一番つらいところしか教えてくれようとしないのです。つまりそれは、治療者からすると、一番最初に助けてほしいところだから、真っ先にそこを教えてくれているかのようです。しかし、いくらつらい「痛み」とはいえ、まだ「痛い」うちは、救いがあります。これがあまりにも慢性化すると、もう「痛み」としては訴えるのをやめてしまうのです。どんな無痛といわれる「癌」の初期症状でも、まったく、無痛とはいえません。どのような病気も、病気と診断される前には、必ず痛みが伴うものなのです。つまり、「痛み」は、患者さんにとっては、見逃してはいけない大切なメッセージであり、治療者には、病気や症状を解明する診察ポイントであり、病気や症状を治療する大切な治療点になるのです。

 鍼灸師は、最も痛みを感じる部位を知り、そこにある経穴にハリをうちます。そうすると、その刺激は、その皮下の筋肉の中にある感覚受容器といってセンサーのようなものに、ヒットして感覚神経にそって脊柱の中にある脊髄を通って背骨を脳にむかって上昇します。そうして、脳にその刺激が到達すると、痛みを取り、筋肉の拘縮を緩和するエンドルフィンが放出されます。それが、また運動神経に乗って、さっきとはまったく逆の経路をたどり、感覚受容器周辺の筋肉のコリや神経の痛みを解消してくれるのです。ですから、「痛みを伝える物質」を「リリカ」が遮断してしまったとしたら、どうなるのでしょうか。もし、そうなれば、治療の可能性が、遮断されてしまうことになるのです。人間が誕生すると同時に、神からいただいた最高のシステム「自然治癒力」が、発揮されることもなく終わってしまうのです。これが「薬が治せなくさせている」という実態なのです。

 人間は傲慢にも、やみくもに「痛みを抑える」という発想を優先しています。ところがこのような発想は、進展していくと希望がなくなります。どんどん治療薬は効かなくなっていき、それからそれへと治療薬の強さは増していきます。新聞の中にある新薬のひとつに「トラマドール」「トラムセット」というのは、いくら「麻薬」指定はされてないとはいえ、本来なら癌の患者さんが、どうしようもない痛みを少しでも緩和させることを優先するために処方されたものです。いわば、終末医療に用いられるものです。麻酔薬の神経ブロック注射も抗うつ薬も何の意味があるというのでしょうか。一見いいことばかりかいてありますが、ほとんどの患者さんは、強い薬の代償として「副作用」に悩まされる日々を送ることになるのです。それが、「治療」といえるはずがありません。そう考えると、わたしには、この新聞の記事は、疑問ばかりが感じられてしまいます。
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by yakura89 | 2012-02-20 10:10 | 自然治癒力 | Trackback | Comments(0)
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