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鍼治療は、脳梗塞による麻痺や拘縮に苦しむ患者さんを助けることができるのか?(後半)

☆カナダ・トロント・ハイパークの朝の風景
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前置きの長いのがわたしの悪い癖、さて本題に入ります。脳梗塞や脳溢血は、脳の痛んだ場所により、麻痺や拘縮が起きます。例えば、右の側頭部、大脳の右脳に出血やつまりの症状が起れば、身体の左半分のどこかに麻痺や拘縮が起ります。これは、言い方を変えるなら、前回も「はり治療の限界点」でお話した。中枢神経に損傷を起こした証拠なのです。もし、中枢神経、簡単にいえば脳に損傷の問題がなければ、左右のどちらか一方が半身に麻痺や拘縮がおこることはないのです。

脳が損傷を受けていなければ、人間の身体は、両方がいっぺんに悪くなることはありません。どちらか一方の悪い方が患側といて、もう一方の症状が軽い方を健側というのです。そして、これは首から下の上半身と、腰から下の下半身とでは、患側と健側が左右違っているのです。では、脳梗塞などの症状を起こした患者さんはどうかといいますと。やっぱり、この患側と健側が存在します。だから、いくら、片麻痺といっても、治療する上では、はじめは患側を重視して治療すべきだと思います。

もちろん、当然ですが、脳梗塞などの症状を起こした患者さんは、首こり肩こり腰痛は、すざまじいものがあります。先日見えた患者さんですが、麻痺や拘縮がないという、大丈夫のはずのもう片方側の半身が、ものすごい筋肉の拘縮がみられたのです。でもこの場合は、原因は、脳梗塞の影響とはいえ、理屈からいえば、必ず患側の方は、治療でよくなっていきます。

では問題の脳梗塞の後遺症として残った麻痺や拘縮は、よくなっていくのかですが、たった一度の治療経験からは、何も話せる資格はありませんが、その時の治療では、はりを刺す前と刺した後では、筋肉の拘縮の状態が、動いたのです。そうわたしの手応えも、患者さん自身の感想も、確かに痛みと筋肉の拘縮の度合いが、違っていたのです。そうです、わずかでも緩んだのです。

もちろんはり治療は、神経の反射です。皮下の筋肉にはりを刺すことで、皮下あるいは筋肉の中にある感覚神経の感覚受容器に刺激が感受され、それが、脳に到達し、ベーター・エンドルフィンを産出しそれが、痛んだ脳の修復に役立っているのです。もちろんそれが出たということは、「ひびき」でも証明されていますが、更に、拘縮をやわらげたということは、筋肉を動かす運動神経にも影響を与えたということで、すごい治療の手応えのようなものを得ることができました。

わたしの仲間の訪問介護の仕事に携わる鍼灸マッサージ師に聞くと、保険の関係から、ほとんどが、マッサージであると聞きます。リハビリにストレッチやマッサージは欠かせないものだと聞きますが、本当は、脳に治療を施し、脳に刺激を働きかけるという意味では、はりの有効性は、見逃せないものがあるはずです。鍼灸師なら誰でもかまわないというわけではないのですが、もしパワーの高い鍼灸師が、治療にあたれば、相当な治療効果は、出せるのではないのかなという感想を持ちました。

もちろん、一口に脳梗塞といっても、症状の程度の違いは、様々であるし、個々の患者さんの条件や、「よくなりたい」という思いの程度にも差があることなので、これは一概に何ともいえない世界ですが、少なくともわたし自身は、初めて患者さんを診察させてもらった感想では、「希望は、まだ残されている」というようなことを感じることができました。でも鍼治療で、よくなるのはわたしではありません。最終的には、どこくらいよくなりたいのかという患者さん自身の思いと決断によるのではないでしょうか?