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わたしは身体を大切に考えている患者さんを尊敬します(2)

わたしは身体を大切に考えている患者さんを尊敬します(2)

「人の命は、何よりも重い」

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「お金は、人の命よりも重い」なんて、口に出していう人はいません。でもこころのどこかでは、事実として肯定しているんじゃあないでしょうか?「世の中で一番大切なものはお金だよなあ」ってね。

子供の頃、母から「人の命は、何よりも重い」って教えられてきたわたしでも、大人になった時には、人間の社会は、世界中どこでも、現実的には「お金は、人の命よりも重い」ものなんだなあって思うようになっていました。何よりも、自分自身が、お金で、ものの価値を評価するように変化していたのがショックでした。

もしわたしが、ある人物に出会わなかったら、わたしも「新地球の法則」に従って、お金の価値観で動かされる人間の一人になっていたことでしょう。60年間、生きていろんな人と出会い、わたしなりにいろんな人を見てきました。でも、この方と出会うまでは、世の中に、お金に支配されないで生きて行動している人がいるなんていうことは知りませんでした。それがわたしの師匠だったのです。

「お金?汚れるから」って言って、治療中の時には、一切お金には触れようともしません。お金以外の目的で、仕事を全うしている人間を、わたしははじめて目の当たりにさせてもらったのです。師匠の日常をみさせてもらっても、長くお付き合いさせてもらっていますが、師匠には、全く欲という欲がありません。

「人はね、魂ひとつでこの世に生まれて、魂ひとつでまたあの世に帰って行くんです。ですからいくら、お金や財産があったって、それを持ってあの世に行けるわけではないから、意味がないのです」

「もしお金が大切だからといって、金貨をお墓に持って行っても、古代エジプトでそうだったように墓泥棒に荒らされて持って行かれるだけで、永遠に自分の財産になるものなってありません。じゃあ、自分の子孫に財産を残そうとしても、争いごとが起きるだけで、かえってこれなら何も残さないことが最良の道であることも、亡くなった後にわかることで、これも後悔のひとつとなるのです」

「じゃあ、自分の身体は、あなたのものかといえば、そんなことはありません。それは、生きている間、あなたが神様からお預かりしているものに過ぎないのです。それをあなた方は、勝手に自分のものだって思い込んでしまって、ボロボロになるまで壊して平気な人がいますが、それは、神様の目からしたらどのように見えるかわかりますか?」


このようなことを、師匠の口から聞かされたことがあります。わたしもこのようなことを聞かされた時、本当にショックでした。まるで、今までの自分の価値観が、音を立てて崩れ去っていくのが、耳に聞こえてくるようでした。師匠の言葉は、いつもそうですが、重くて、否定しようがありません。言い返そうと思っても、言葉が湧いてきません。

特に今わたしも師匠と同じように治療をさせてもらうという立場に立たされています。「身体」という概念が、全く患者さんや一般の人と考えが変わってしまいました。「壊す」方ではなくて「治させてもらう」方の立場からすると、いかに、患者さんの考え方が、ご自分を大切にしていないかがよくわかります。自分自身を含めて、本当にみなさん「感謝」が足りないのです。

感謝は、わたしたち治療をするものに対してではなく、大宇宙や小宇宙(人体)を作られた創造主である神様です。でも、そういうわたしもあまり患者さまに対してエラそうなことがいえないのです。第一、自分のこころや身体をボロボロに壊してしまったことがあるから、その尊さがわかるからです。

わたしは師匠からいわれたのです。「どのような道も、早い遅いはありません。気づいたときが、その人のチャンスなのです。ケガも病気も不幸現象も、すべては、あなたに気づいて欲しいから起きている神様からのメッセージだからです」

だから、こんなわたしでも神様のお手伝いが出来るなら、自分の人生のすべてをかけてもいいって思いました。でもごく稀に、患者さんの中でも、自分自身の身体を大切にしたい。またそれは、口だけではなく、それを実行されている患者さんがいます。わたしはそういう患者さんを見ると、心の底から、尊敬するようになったのです。

わたしの目からは、治療をする方も、受ける方もそういうことは一切関係ありません。みんな神様の分身ですから、ケガや病気や不幸を通して、どちらが先に気づかさせてもらうかが問題なのです。わたしは師匠と出会ってそのように考えが変わったのです。

(おわり)