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未病治とは、虫歯予防のようなもの

 東洋医学の中に「未病治」っていう言葉がある。前にもそれについて説明したが、今回もそれについて、もう少し考えてみた。

 「外国の人って歯がきれいな人が多いように思うけど、どうしてかな」っていつも思っていた。それが、結婚してから分かるようになった。私の奥さんは、カナダ人である。とても歯が素晴らしくきれいというわけではないが、歯に対する意識が日本人とは全然違う。すごく大切にしている。普通歯磨きは、食後の3回が常識らしい。ところが、私ときたら夜寝る前に1回で終わり。それ意外に磨くときもあり、磨かないときもある。そんな調子である。ところが、奥さんときたら、3回は常識。それ以外にも、外でお茶を飲んだりした時にも、トイレに行って歯磨きとくる。とても付き合ってはいられない。そのくらい大切にしているから、歯医者さんについても厳しい。年に1回か2回は、必ず歯石を取るために歯の掃除に行く。その習慣は、私にもすっかり見についてしまった。我が家の常識の一つになったのだ。そのためか、ここ何年かは歯医者さんに行くけれど、虫歯の治療は一度もない。

 でもこれって、考えてみると、本当に素晴らしいことではある。誰だって、歯医者さんが好きな人はあまりいないだろう。虫歯になった時に、ガリガリと歯を削られるときのことを考えると、その音を聞いただけで、気持が滅入ってしまいそうだ。よく子供の頃、夏休み前になると、必ず、虫歯の検査があった。うっかり、歯医者の先生に「何々君、何番、Cいくつ」とか言われた日には、それだけで、一日が不安で暗いものとなった。ましてや、保健室の先生から、虫歯治療の紙を手渡された日には、もう死刑の宣告を受けたようなものだった。そういう経験のある人はいないだろうか。そんな歯医者さん嫌いの私が、年に2回くらい歯医者さんに通って歯石を取ってもらい歯の掃除をしてもらっている。おかげで、結婚してから20年になるが、一度も虫歯治療を受けていない。これって東洋医学でいう「未病治」そのものである。

 歯の歯石とり掃除というものを考えると、これは立派な「予防医療」である。もともと口の中には、いろんな雑菌がある。虫歯の原因になるのは、皆さんよくご存知の歯周菌。ところが、歯磨きをしたくらいでは、なかなか、処理できないのが実情である。どうしても歯垢によって蓄積して、特に歯茎の下の見えない部分に歯石としてたまることになる。唾液の質によっても違うらしいが、歯磨きがいくら上手な人でも、プロの歯科医か、歯科衛生士の手が必要になってくる。しかし、歯石取りや歯の掃除をしてもらうことで、立派に虫歯予防になっているのである。私の歯の20年間が、それを立派に証明している。歯にいっぱい歯垢や歯石がついた状態は、決して健康な状態とは言えない。しかし、かといってそれだけでは、病気だとは言えない。おそらく、そのような状態の人は、この世には、五万といるだろうし、それだけで、歯医者さんは治療はしないだろう。ところが、その状態は、本当に健康に気遣う人から見れば、危険な状態と言える。いつ虫歯になっても、あるいは、歯槽膿漏になってもおかしくない状態だからだ。これを、「未病」というのである。

 ところで皆さんは「8020」運動という言葉をご存知だろうか?80歳をむかえても20本以上自分の歯を残そうという運動らしい。長年の研究で、歯が丈夫な人は、長生きするらしい。自分の自前の歯でよく噛んで食べれば、消化にもいいし、脳の働きにも当然いい影響が出てくるだろう。健康で長生きする秘訣は、歯にあるかもしれない。話は変わるが、私の父は、とても歯が丈夫な人で、わたしの知る限りでは、60代を迎えるまでは、虫歯が一本もなかった。ところが、歯槽膿漏にやられてしまい、いい歯を次々と抜いて、最後には総入れ歯のようになってしまった。私が、歯医者さんに通って歯の掃除をしてもらうのは、そういう父の晩年を見ているからかもしれない。もうこれだけ書けば、分かってもらえただろうか?「未病治」がいかに大切かと言うことが、「未病治」と掛けてなんと解く。「歯の掃除と解きます」そのこころは、「どちらも立派な予防医療です」ということで、お後がよろしいようで…。
by yakura89 | 2009-02-03 17:21 | 未病治