天使の声が、悪魔のささやきに変わるとき

 はじめから手術のせいで「アレルギー性気管支ぜんそく」が始まったとは考えなかった。ただ、手術の効果は3年間とは続かなかった。私の鼻は、花粉の季節の訪れとともに、また、もとの症状にもどされていた。原因はいろいろ考えられるが、私の身体の内部環境は、あまり良好ではなかった。また、細菌におかされて鼻粘膜は劣悪なものとなってしまった。よせばいいのに、こともあろうに「レーザー治療」というものが注目され、簡単に手術が可能ということで、再手術に望んでしまったのだ。今思えば、何のためらいもなく再手術に望んだ思慮の足りない自分がおそろしい。ともかく、痛んだ鼻粘膜を取り除き、新しい鼻粘膜を再生するレーザーによる手術は、無事終了した。さて、次に私を待ち受けていた問題は何だったろうか?理解の早い方ならもうおわかりであろう。そう「アレルギー性気管支ぜんそく」の再発である。つまり、いつまでたっても、ただ繰り返しているだけ。何も、「手術」や「投薬」では、何ひとつ問題が解決がなされなかったのである。科学の最先端である近代西洋医学を持ってしてもだめだった。もう、ここまでくれば、いくら馬鹿な私でも、いやという程わかった。もう、近代西洋医学では、私の身体は治せないことが、はっきりと認識することができたのである。

 私は、やがて、もう最悪な状態をまねいてから、ステロイドが「天使」の顔をした「悪魔」だったことを知ることになった。前に私は、薬の作用と副作用について簡単に触れたことがある。作用でいうなら、ステロイド剤程、炎症によく効く薬はない。どんなアレルギーだろうとたいていの炎症なら、これさえあれば、たちどころに問題を解決してくれる。カードにも「切り札」というものがある。これに勝る「切り札」はないわけだから、これを実際につかわなくてもいいわけで、持っているということが相手に伝われば、勝負に勝てるという代物だ。ただ、この「切り札」を出してしまった以上、その勝負に負けは許されない。だから、呼吸器科の医者が、私の肺に炎症が認められた以上、投薬を中止することができなかったのは、仕方がない判断だったともいえる。少なくとも、西洋医学に携わる医療人としては、踏み外すことができないセオリーだったと言えよう。病院から出される薬の注意書きにも「医師の判断なしに自分の判断で中止することがないように」と書かれているのはそのためである。このブログの右側にある「ライフログ」にはいっている。「医者からもらった薬がわかる本」法研の本の中には「ステロイド薬」についてこんなふうに書かれているので引用してみることにする。


☆ステロイド薬(副腎皮質ホルモン)

 薬の中でも、使い方が最も難しいものの一つで、最近による感染症を誘発したり、胃・十二指腸潰瘍、糖尿病、副腎機能の低下、精神障害などを起こすことがあるので、次のことに注意します。

①他に適当な治療があるときは、副腎皮質ステロイド薬はなるべくつかわないようにします。

②本剤を使用しているときは、副作用の出現に十分に注意し、ストレスにさらされないようにし、服用 中に事故があった場合は、すぐに処方医に連絡します。

③急に服用をやめると、熱が出たり、頭痛、食欲不振、脱力感、筋肉痛、関節痛、ショック症状が起こ ることがあるので、自分勝手に服用を中止してはいけない。

★重大な副作用

❶細菌などに対する抵抗力が落ちて、誘発感染症や感染症の憎悪がおこることがあります。

②糖尿病や続発性副腎皮質機能不全がおこることがあります。

❸消化管潰瘍、消化管穿孔、消化管出血が起こることがあります。

④膵炎がおこることがあります。

❺うつ状態などの精神変調がおこることがあります。

❻骨粗鬆症、大腿骨や上腕骨などの骨頭無菌性壊死、ミオパチーなどがおこることがあります。

❼連用によって眼圧上昇、緑内障、後のう白内障、中心性漿液性綱脈絡膜症・多発性後極部網膜色素上 皮症がおこることがあります。

⑧血栓症がおこることがあります。

⑨心筋梗塞、脳梗塞、動脈瘤がおこることがあります。

⑩硬膜外脂肪腫があらわれることがあります。

⑪アキレス腱などの腱断裂がおこることがあります。

★以上の黒丸は、私に身体に実際に影響を及ぼした重大な副作用であった。


 もう「セレスタミン」をはじめとするステロイドは、「天使」のようには囁いてはくれなかった。いつの間にか、気づいた時には、「悪魔」の薬と化して私に襲いかかってきたのである。30代の後半から40代の前半にかけて、私は「アレルギー性気管支ぜんそく」以外にも、いろんな病気を経験した。そして、そのために何度も入退院を繰り返すことになった。胃潰瘍・十二支潰瘍。それから、強烈は発熱を伴う感染症。左膝関節感染症。本当に何度入院したことであろう。また、眼圧が高く眼底に異常があるということで緑内障を疑われ、眼科に3年間検査に通った。また左右の両肩を肩関節周囲炎も症状が重く。普通予後が良好なはずなのに左右合わせて6年間ひどい痛みに耐えた。また、胃・十二支潰瘍で入院した病院からの紹介状を持って精神科医を訪ねると、今度は、鬱病と診断された。その頃は、不眠がおこり、いつも身体は倦怠感とたたかっていた。当然、自律神経のどこかが失調していた。また、いつも身体のどこかに神経痛があり、肩、背中、腰、肋間、下肢と常に場所を変えての正体不明の痛みとたたかうことになった。まるで、「悪魔」に取り付かれているとしか思えない何年間を過ごしたことだろうか。しかし、それらはすべて、「悪魔」の薬。「ステロイド剤」の副作用がもたらした後遺症が原因だったことはいうまでもなかった。こうして振り返ってみると、どうして、今ここに私と言う人間が存在するのか不思議に思う程、おそろしい体験を何度も繰り返した。本当に、この恐ろしさは、体験したものにしかわからないことだろう。世にも恐ろしい、本当の話なのである。(つづく)
[PR]
by yakura89 | 2009-02-25 14:12 | 花粉症 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://yakura89.exblog.jp/tb/9697174
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。