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大腿神経痛、まずは休養!

 「大腿神経痛」という言葉には、何かうっとうしいようなつらい響きがある。痛みから解放されないという意味では、どこの神経痛でもつらいことは間違いない。しかし「大腿神経痛」は、できたらなるべく避けて通りたいものである。以前、大腿神経痛について書いたことがあるが、腰部が原因でおこる神経痛の中でも、大腿神経痛というのは、かなり重症だ。しかも大腿神経痛がある人は、座骨神経痛も閉鎖神経痛もあるということを書いたと思う。それに、仮に動くことができたとしても、かなり歩きにくそうなことは間違いない。なぜか、それは、大腿神経が支配する筋肉が問題だからだ。大腿神経が支配する筋肉は、全部で4つある。①大腿四頭筋、膝をのばす働きをする。②腸腰筋、太腿を上に引き上げる働きをする。③縫工筋、股関節と膝関節を曲げて外側に回す働きをする。少し複雑な動きに思うかもしれないが、簡単にいうと、あぐらをかいて座る時の動き、または、イスに腰掛けていて膝を組む時、組んだ足の方の動きである。④恥骨筋、股関節を曲げて膝を閉じる働きをする。これらの動きを支配するのが大腿神経。やはりこの神経を痛めたら、かなり歩きにくいのはわかるだろう。それに、大腿神経痛がある人は、座骨神経痛も閉鎖神経痛もあると言った根拠は、②腸腰筋が主な理由である。腸腰筋は、正確に言うと、大腰筋と腸骨筋の二つをいうが、特に問題なのは、大腰筋である。腰の骨である腰椎から、神経の束、腰神経叢が出ているが、この大腰筋が硬縮している場合、間違いなく腰神経叢の神経根を痛める。大腿神経痛ということは、大腰筋に拘縮があるということなので、二重三重の神経痛症状になっている。だから、一番ひどい症状ということがいえる。

 大腿(だいたい?)神経痛があったという人は、始めから腰痛があったと考えるのが普通である。腰痛を抱えながら、そのくせ無理をする。その無理のつけが回ってきて「大腿神経痛」になる。もっと具体的にいうと、もともと腰痛持ちだった人が、草取りをやって痛めるとか、引っ越しで重いに荷物を頑張って運んだ。無理をすると、こういった大腿神経痛が待っているのである。もっとそれが急激な症状になると「ぎっくり腰」と言われる症状である。どちらにせよもともと「腰痛」がそこにあったことは間違いなく。超急激だと「ぎっくり腰」。やや急で軽いのが、「大腿神経痛」というだけの話である。これで、「大腿神経痛」のアウトラインがご理解していただけただろうか。さて、では、どうしたらいいのかと言うと?一番いいのは、「何もしないでゆっくり安静に寝ていること」である。これ以上の治療はないかもしれない。以前一度、八倉治療院に「ぎっくり腰」の患者さんが見えたことがある。何でも、廊下で滑って転んで「またやってしまいました」と言う。ひとりでは来れなくて、隣近所の方に車を運転してもらって、ようやく当院にたどり着いた様子である。一度、その患者さんの腰痛を治させていただいたのが、動機だったらしい。「あの先生なら、何とか助けてくれるのではないか?」そうもおっしゃられていた。ところが、私は、玄関の入り口でその話を聞き状態を見て、これは休養しかないと判断したのである。「今日から3日間、安静に何もしないで寝ていてください。絶対に起きていてはいけません」患者さんは、ポカンとした顔をなさって「え、何も診てくれないんですか?」「そうです。3日休んでくだされば、必ず良くないますから」という言葉に安心したのか?足を引きずって近所の方に寄りかかりながら帰って行った。2日後ご自宅に電話した時は、「大分良くなって痛みが違う」と言っていた。そして、3日目には、「先生の言ったことは本当でした。本当にありがとうございました」ということで私もホッとした次第であった。

 このように急性期の神経的に痛みを感じた場合には、安静に休むことがベストの選択である。「身体の声を聞く」というのか、痛みは、休養が一番なのである。強縮した筋肉も休養によって弛緩してくるもので、あせっていろんなところで治療を受けると、寝た子を起こすのではなく、発痛物質を誘発してしまい。余計に痛みと戦わなければならない状況になってしまう。本当に、「安静ありき」まずはそのことを忘れないでいただきたい。そして、痛みがさって、筋肉も緩んできた状態で始めて治療を考えれば良いことなのである。しかもその治療は、あまり大腿神経痛ということで、大腿四頭筋に拘らなくてもいいように思う。やはり、痛みの根本は腰部にある。その腰部もできたら、横臥位(おうがい)といって横向きに寝た状態になってもらい、肋骨と腸骨(骨盤の骨と言った方がわかりやすいだろうか?)の間になるべく指が入るような体位をとってもらい、体重をかけながら、大腰筋を意識して筋を緩めるような治療が効果的だと言える。あくまでも治療点の重点は、腰部のしかも大腰筋がポイントとなる。全くあせることはない。そして治療を重ねることで、大腿四頭筋(太腿前面)の筋の拘縮を緩め、最後の段階として縫工筋や恥骨筋などは、運動法(治療者が、患者さんに対して運動する時の動きを意図的に行うもの)を交えマッサージで治療していきたいところである。まあ、こんなに上手く治療ができたら何も言うことはないが、頭の中では、そのようなシュミレーションが働く。



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