カテゴリ:頚肩腕症候群( 1 )

 頚肩腕症候群とは、文字通り、頚(くび)と肩と腕の筋肉が凝り痛みを生じる病気である。これは肩こりの延長である。肩こりもほとんどの人が、頚の筋肉に痛みを持っている。いわゆる「首こり」の症状で、肩周辺の筋肉の凝りよりこの「首こり」に不快な症状を感じている人が多い。そして、頚肩腕というように、「腕」に症状があるのが特長である。去年の夏、「肩こり」の研修会があり参加した。ところが、発表を聞いていくと、この「頚肩腕症候群」と、もう一つ重症な「胸郭出口症候群」は、「肩こり」症状からはずされていた。理由は、聞かなかったが、たぶん、どちらも「肩こり」の延長にあることは確かなのだが、どちらも重症である。簡単に治せるものではない。ましてや、「症候群」とつく以上、これは、りっぱな病気ということなのである。
 ところが、「肩こり」でみえる患者さんの多くは、症状をよく聞くと頭痛があったり、頭が重い、ふらふらする。という方が多い。また、そうでない場合は、「頚肩腕症候群」のように腕が痛い。といっていろんな症状を訴えられるのである。これはどういうことかというと、頚の主な筋肉として、胸鎖乳突筋や斜角筋、といった筋肉が硬結する。すると、頚には脳を栄養する総頸動脈や椎骨動脈などの動脈が、通っているわけでその動脈が圧迫されて、以上の症状を引き起こすわけである。頚を境に、上に症状が出れば、頭痛となり、下に出れば、腕や肘に痛みを感じるようになる。文字通り「クビがネック」になるわけだ。
 昨年みえた患者さんの中に、こういう方がいた。肘や腕が痛くて、整骨医院にいったそうだ。先生は、これは、「テニス肘ですね」といって、マッサージやテーピングなどの治療をしてくれたそうだ。ところが、もう半年以上通っているが、いっこうに治らない。ということで、私に助けを求めることになった。私の見立てはこうだった。Aさんの場合、腕の筋肉でいうと、上腕二頭筋と腕撓骨筋を痛めていた。確かにテニス肘で痛める筋肉ではあるが、元は、首こりからきているわけだから、腕神経叢を痛めている。だから、治療原則からいえば、「上から下」に向かって治療しないとこの肘痛は治らないのである。いくら腕撓骨筋を痛めてるからといって、そこだけを治療しても治癒できないのである。腕神経叢というのは、神経の束である。特に腕の筋肉や指の筋肉を動かしている神経がいくつかあるが、Aさんの場合、痛めている筋肉が、上腕二頭筋と腕撓骨筋ということから、支配している神経が撓骨神経だということがわかる。だから、その神経が、どこを通るか、ということを意識して、治療することが大事ななってくる。そして、痛めた、二つの筋肉を充分にもみほぐしてやれば、痛みの症状は、見事に緩解するのである。
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