カテゴリ:胸郭出口症候群( 1 )

 肩こりの症状が、慢性化してそのまま放っておくと腕や肘が痛くなってくる。これが、「頚肩腕症候群」である。それが、さらにひどくなっていくと、腕を上げるのが、痛かったり、まっすぐに上げられない。腕も肘も筋肉が凝っていて痛い。また、更に手の指が、痛かったり、しびれがある。これだけの症状が、重なれば、立派な「胸郭出口症候群」である。ところが、これだけの症状がありながら、何も言わない患者さんが多い。ただ、「肩こりがつらくて」ということで、こちらから、聞いていかない限り、肘や指の症状については、あまり話したがらない。ついこの間も、「肩こり」でとみえた患者さが、よくなり、今度は「腰痛」もあるので、ということで腰痛の治療をした。どちらもほとんどよくなり、もうそろそろ「卒業」かな、と思っていた頃。「実は、もう10年くらい前から、腕や肘が痛くて困っている。指のしびれや痛みもある」ということを話してくた。更に聞いていくと、「もうだいぶ前に、整形外科に行ってみたけど、レントゲンをとっても異常はなく、痛み止めの飲み薬と湿布薬をもらった。でも、何も治らない。注射も打ってもらったけれどダメだった」ということであった。要するに、もうすっかり、諦めていたのである。ところが、私の治療院に来て、もう何十年来の「肩こり」が楽になった。そして、これまた、何十年来の「腰痛」がよくなった。ということで、「もしかしたら、この腕の痛みや、指のしびれや痛みもこの先生に言ってみたら、何とかなるかもしれない」と思ったようだ。
 そこで私は、「胸郭出口症候群」という病気について説明してあげた。これも、「肩こり」「首こり」が高じて引き起こされる。頚の主な筋肉には、有名な胸鎖乳突筋以外に、前、中、後と三つの斜角筋がある。特に原因となるのは、この前斜角筋と中斜角筋である。この筋肉は、ちょうど頚の付け根斜め前方にある筋肉である。この二つの筋肉が、硬結すると、二つの筋肉に挟まれるようにして通っている腕神経叢と鎖骨下動脈を圧迫する。またそればかりか、この神経と動脈は、鎖骨の下を通って胸の脇を通っていく。この時に、肩こり症状によって硬結した小胸筋によって胸郭(肋骨)の間で更に圧迫を受けることもある。こうして引き起こされるのが「胸郭出口症候群」である。神経や動脈が圧迫されるということは、どういうことかというと。人間の体の組織は、全て血液によって栄養されている。それが、障害されると、筋肉は、正常な活動ができなくなるのである。また、神経も圧迫を受けると、痛み、神経伝達物質の走行に以上が出てくる。また、神経は、筋肉の運動を支配しているので、神経が痛むということは、筋肉を痛めることと同じことになるのである。特に、腕神経叢には、特に大切な三つ神経が走行している。撓骨神経、正中神経、尺骨神経といって、これらの神経は、肘関節の曲げ伸ばしや、指を動かすといった、大切なはたらきをしている。だから、この「胸郭出口症候群」の治療は、頚の筋肉を緩めた後、神経の走行に従って、肩、上腕、肘、前腕、といった具合に「上から下」へと痛めた神経と筋肉の両方を対象に治療していかなければならないのである。
 残念ながら、多くの整形外科で行われている治療は、痛みを一時的にごまかしているだけであって、治療にはなっていない。仮に、患者さんの痛みは、一時的に治まったとしてもその状態が、そんなに長続きするするものではないのである。特に、痛めている指によって違いはあるが、これまでの患者さんの経験からいうと、撓骨神経を痛めていることが多い。そうすると、頚以外に、主な治療点は、3カ所である。特にここでは、それ以上、説明はいらないと思うので、省略するが、よほど痛めてからが長くなく、重症でない限り。1、2回の治療で治られることが多かった。よくなった患者さんの驚きは、大変なもので、今まで上がらなかった腕が、上がるようになったり、痛かった腕や指が、痛くなくなったとビックリされるのである。また、よくなったものは、よほどのことがない限りもとの症状に戻ることはないので、私自身も驚いている。
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