カテゴリ:損害賠償責任保険( 1 )

 私たちの仕事で、「何はなくとも必要なもの」がある。それは、「損害賠償保険」である。私は、専門学校で学んでいる時から師匠に厳しくいわれてきた。「あなたがこの仕事をやっていくためには、損害賠償保険に入らなければなりません。損害賠償保険に入るためには、国家資格が必要です。そのために、今あなたは、専門学校で学んでいるのです」学生の頃から、もう、こんなふうに言われてきたのである。師匠が、「損害賠償保険」が必要と言う背景には、私たちの仕事が、「生命(いのち)をあつかう仕事」と言う意識がある。人の生命をあつかう以上、それだけの責任がある。しかし、保険に加入していない以上、責任は果たされたとは言えない。責任の最低限を果たすためには、安心できる保険に加入していなければならないというのが、治療家としての常識なのである。そのために私は開業するにあたってすぐに調べて加入した。開業日も、慎重に保険期間が開始される日にあわせるといった慎重ぶりであった。(八倉治療院の開業記念日は、6月1日。保険期間は6月1日から翌年の6月1日まで。ちなみに6月1日は、私の誕生日でもある。蛇足)

 どうして師匠が、「賠償保険に入るためには、国家資格が必要です」と言ったのか。それには背景がある。今はどうか知らないが、今までは、「整体」のような、国家資格がない人たちには、保険に入ることができなかった。つまり、私たちのように専門学校で3年間という人体や病気に対する専門の勉強がなされていないために、医療過誤が多いというリスクがあったためである。保険会社も会社である以上、利益収益を追求する。リスクが多い商品は、商品として成立しない。だから、人体や病気について、専門的に学んできた有資格者に対してしか、保険をかけさせなかったのである。事実、今現在でも、ほとんどの有力の保険会社の賠償保険は、国家資格を有するものにしか開かれていない。おそらく、「『鍼灸マッサージ』は厚生労働大臣認定の国家資格であり、『整体』は、国家資格ではない」。という違いすらわかっていない一般の方には、知るよしもないことであろうが、事実はそういうことなのである。

 私が3年間、加入している賠償保険について紹介しよう。私は、日本鍼灸マッサージ組合の『協同組合110番補償制度』はり師、きゅう師、あん摩・マッサージ師・指圧師賠償責任保険に加入している。保険パンフフレットによると「この保険は組合員の先生方が、安心して日常の業務に専念していただけるよう、不慮の施術事故が原因で、患者の身体に障害を与えてしまい、損害賠償を追った場合や院内感染の不備・日常生活中の事故により損害賠償を負った時に、その損害をお支払いするものです」とある。「不慮の事故」というのは、例えば、鍼治療の際に深鍼が原因で気胸をおこしてしまった。灸治療中誤って火傷をさせてしまった。マッサージ治療を行った結果、圧迫が強かったことが原因で大腿骨を骨折させてしまった。等。また、「院内設備の不備」というのは、治療院の看板が風で倒れ、駐車中の車両を傷つけた。患者の衣服が診療ベッドの留金に引っかかり、破けてしまった。従業員が患者にぶっつかってケガをさせた。等。また、「日常生活に基づく事故」というのは、自転車で他人をけがさせてしまった。飼い主の不注意により飼い犬が他人にかみつきケガを負わせてしまった。等。こう言う事故の場合には保険が適用されるので、こういうことを経験された患者さんは、遠慮をしないで治療院の先生に、気軽に相談してみてほしい。また、保険金額だが、私のところでは、鍼灸・マッサージ業務の基づく事故の場合、1事故2億円、1年間6億円まで。業務施設に基づく事故の場合、1名、1億円まで。1事故、2億円まで。対物、1事故2000万円まで。被害者治療費、1名・1事故、通院3万円までが補償されている。いずれもそのようなことがないのが、一番幸せなことだが、もし、万が一に備えてそれだけの準備は、治療院を経営する以上、最低必要な条件になる。

 最後に、私がこの損害賠償保険の重要性を肌で、感じたのは、他でもない。最近ブログでも書いた。糖尿病を患っていたAさんが、心筋梗塞で突然死された事件を知ったことからだ。Aさんは、友達のもう一人の患者さんであるBさんに「今度、八倉先生のところに行きたいんだけど、Bさん、私の変わりに予約入れておいてくれない」と頼んで、その後2時間以内に亡くなられた。そういう事件が、つい最近私のところで起こった。もし、Aさんの死期がもう少し伸びていて、私が治療中に心筋梗塞を起こされていたら、私はどうすればよかったのだろう。勿論、医療者として緊急対応ということで救急車を呼ぶ等の手はずは、心得ているが、治療責任は、免れない事態であったと思う。そういうことを考えると、治療院を経営するもの。人の身体を治療するものは、常に不慮の事故というものを頭の中において、治療にかからなければならない。そのためにも、「損害賠償保険」は、必ず入っておかなければならない。「何がなくとも必要なもの」になる。


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