カテゴリ:更年期障害( 3 )

 先日、46歳の女性Kさんが、半年ぶりくらいに治療院に見えられた。肩が凝って夜も眠れない。頭も痛いし、お腹も痛い。どうしようもないから助けてほしい。Kさんの悲痛な訴えに対して何とか答えてあげたいと思った。話を聞いていくうちに、「腹痛は、生理痛のような痛み。そういえば最近ずっと生理がないんだけど……」「どのくらい?」「もう1年以上かな」「もしかして、私、更年期かもしれない」。女性に生理のことを聞くのは、この医療の世界においては、常識であるはず。ところが実際は、男性が、治療者である場合は聞きにくい質問ではある。また、こうして40代や50代の患者さんが、自分の方から、生理について語ってくれるということは、よほどの信頼関係がないとあり得ない。しかし、会話が、ここまでくると非常に助かる。「最近何か変わったことはない?」「最近、急に顔がほってたりということがある?」「熱くもないのに、汗が急にでてきたりして困ったことはない?」。これらが確認できれば、間違いなく、「更年期で、自律神経に障害が起きている」ことがわかる。

 鍼灸マッサージに特別、「更年期障害」のための治療があるということではない。症状は、患者さんにより様々である。こちらは訴えられた症状に対して、軽減するような治療を心掛けるだけである。このKさんの場合は、肩こり、頭痛、腹痛、腰痛が身体の症状としてでている。だから、それらの痛みが、治まるように、按摩、指圧を試みた。訴えの割には、強い凝りは見られなかったが、本人にしてみれば、大変につらい症状なのである。しかし、身体の反応というものは人様々であり、Kさんのように筋肉が拘縮しない場合でも、神経からくる疼痛もある。だから、筋肉の状態だけでは判断できない場合もあるのだ。これも、肩こりで以前、Kさんの身体を治療しているので、そういうことが、判断できた。治療は念入りに全身の痛みを確認しながら行った。Kさんは、安心したのか、「気持がいい。これなら、今からでも眠れそう」という言葉を残し帰っていった。「もし、症状がまだあるようでしたら、1週間後にまた来てください」しかし、幸いにもAさんの身体は、自律神経の働きが回復し、障害を乗り越えることができたようである。

 「え、それだけのことで」と思われる方は、一度試されることを勧める。このように「更年期障害」も「うつ病」などの精神障害も身体の痛みとなって訴えられる場合が多い。これを専門的には「感覚ー体制反射」とよばれるものだが、少しだけ、その訴えられた身体の痛みを、楽になるように助けてあげれば、また、自然治癒力の回路が働くわけである。人間の身体は、じつに素晴らしいシステムが、そこに働いているものだ。それを、神経の異状ということで神経伝達物質「セロトニン」を投薬で補給しようとしたりする。また、眠れないからといって、睡眠薬などを補給すると、「治そう」とする治癒力のシステムが、へそを曲げて働こうとしなくなってしまうのである。そういう例は、たくさんある。女性の悩み「更年期障害」は、「女性が女でなくなってしまう」というような受け止め方をされる場合が多く。自分ひとりで悩んでしまい。まさに心身相関の病気となってしまうことが多い。そうならないためにも、正しい知識を身につけ、信頼できる「治療院」を見つけてほしい。そのような願いを基に、今回女性の悩み「更年期障害」を取り上げさせてもらった。最後に、いつもの老婆心ながら、「更年期を乗り切る10か条」をご紹介させていただくことにしよう。これを、人生の転機を賢く乗り切る参考に役立ててほしい。

☆更年期を乗り切る10か条

1、いい友達を持つ。
 同世代の同じ悩みを持つ友達は、夫に話せないことも相談できるなど、こころの支えになる。

2、家族の関係改善
 更年期障害の治療を受けていても、夫や家族との関係がうまくいかないと、はかばかしい効果は出せない。お互いが自立した人間として、日頃から家族といい関係をつくっておくことが大切だ。

3、肩に力を入れないで、あるがままの自分でいる。
 完全主義の女性ほどストレスを背負いやすく、更年期障害が強くでやすい。100点満点でなければ気がすまない人は、無理をしないで、少し肩の力を抜くとよい。

4、身体を動かす。
 精神だけではなく、身体をリラックスさせるのも、つらい症状を和らげる効果がある。散歩など、自分の体力に応じて積極的に運動する。

5、生きがいを持つ。
 生きがいがないと、うつ状態になりやすい。例えば、人とのつながりがあるボランティア活動などが、生きがいづくりに適している。

6、おしゃれをする。
 おしゃれ心は、若さを保つ。知恵を生かして、お金がかからないおしゃれを。

7、健康診断を受ける。
 健康に自信がある人ほど受けたがらないが、自分の健康状態を把握すべきだ。年に1回は検診を受けるように。

8、きちんと睡眠を取る。
 睡眠不足になると、身体の抵抗力が落ち、いろいろな病気もかかりやすくなる。

9、食事に気をつける。
 栄養のバランスのよい食事を三食規則正しくとる。それには、お金をかけるよりも、手をかけて食生活を楽しむと効果的。

10、好奇心をなくさない。
 常に新しいことに挑戦する気持の張りが、若さを保つ上で欠かせない。


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☆気になるおもな更年期症状

1、月経不順………
・周期の乱れだけではなく、月経量にもばらつきが生じる。

2、発汗…………… 
・寒いときでも汗を噴き出すようにかく。寝汗のこともある。首の周囲や腰回りなど部分的なこともある。首から上であることや、寒くてかいてしまうことに本人の不快感は強い。

3、ほてり…………
・「かーつ!」と熱くなるような感じが、1日に何回となく起こり、止めることができない。

4、腰や手足の冷え……
・若い時から冷え性に悩んでいた人ほど、更年期は症状が強くなりやすい。

5、息切れ・動悸……
・運動など全く関係なく症状が出現する。就寝中に急に激しい動悸がして目覚めることもある。

6、寝付きが悪い・眠りが浅い……
・心因性などの問題とは関係なく、不眠傾向にあることがある。のぼせ、寝汗、手足の冷えが引き金であることもある。

7、怒りやすい・イライラする……
・精神的に不安定になりやすい。

8、くよくよしやすい、憂うつ……
・様々なストレスが増大する時期。体力や気力も低下してくるので、こうしたことが許容範囲を超えやすい。

9、頭痛・頭重感………
・ちょうど老眼が始まる時期にあたるため、眼精疲労を誘因とするケースもある。

10、耳鳴り…………
・比較的軽症。周囲が静かになる夜間などに感じることが多い。「キーン」「ジーン」など。

11、めまい…………
・浮動性めまいが多い。自律神経の乱れが主な原因。

12、易疲労感………
・急速をとっても解消しない疲れ。程度が軽くても自覚症状が持続する。以前ほど気力やスタミナがなくなってきたことを実感する。

13、肩こり、腰痛………
・腰、膝、足関節、足部、肘、手関節まであらゆる関節痛がおきうる。

14、トイレが近い、尿もれ………
・尿道括約筋や骨盤底筋などがもろく弱ってくることから尿失禁をおこしやすくなる。膀胱粘膜の萎縮などから尿量が少なくなっても尿意を感じやすくなる。

15、尿道が痛い、性交時痛がある………
・泌尿器系の粘膜が薄くなった結果である。


※女性の悩み、更年期の症状は、意外に多岐にわたり、症状も様々である。今までおかしいなあと思っていた。しかし、この表を見て、症状がはっきりして安心した。という方もいるかもしれない。さて、それではどうするか。西洋医学には、このような更年期障害に対する治療法として様々な投薬療法が考えられる。東洋医学も選択肢に含めてみた。あなたなら解決法としてどれを選択するだろうか?

☆更年期障害の治療法の選択肢

(1)、低容量ピル
・ピルは、エストロゲンとプロジェストロンを配合したもので、本来は排卵を起こさないようにする避妊薬。閉経までの間に服用することによって、ふそくしている女性ホルモンを補うことができ、症状を軽減させることができる。

(2)、ホルモン補充療法(HRT)
・ピル同様、エストロゲンとプロゲストロンを含むが、ピルよりも含有量が少ない。更年期に多くの人が感じる血管運動神経系の症状に有効といわれる。また、骨量減少に歯止めをかけたり、生活習慣病の予防となるなどのメリットもある。ただし、使用禁忌のケースもある。(また、乳がん発症リスクが心配される)

(3)、漢方療法
・ホルモン量の調整はできないが、対症的な対応をしながら全身の状態を整えることが可能。

(4)、カウンセリングなど
・HRTは身体症状には奏功することもあるが、精神症状には効果が薄い。このため、精神症状が強い場合には、精神科や心療内科の受診が必要となる。ただし、軽いうつ傾向や不眠傾向に対しては婦人科で必要な処方をしてくれることが多い。

(5)、鍼灸マッサージ
・1〜4までは、すべて薬物投与による治療方法である。更年期の症状を病気としてみるのではなく、身体が変化をする時期として受け入れる。また、本来、自分の身体に備わっている自然治癒力を信じて自律神経の調整を行う。


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 先日、夫婦で飲みに行った時、隣のテーブルにいる女性二人の会話が聞こえてきた。ちょっと深刻な表情だったので気になってしまった。あまり会話がよく聞こえたわけではないが、「更年期で…」という言葉が耳に入った。年齢も50代ぐらい。きっと「更年期」を迎え何かお困りなことがあったのだろうと思った。そういう私の妻も46歳。そろそろ更年期を迎える。だから、そのくらいの患者さんの身体の不調は、人ごとではない。そうでなくても女性患者さんが多いこの仕事、女性の悩みに無関心ではいられない。そこで今日は、「更年期障害」について、正しい知識が必要であると思い。専門学校時代の「女性小児の東洋療法」のファイルを引っ張りだしてきた。学校時代の資料は実に役に立つ。これで、みなさんと一緒に「更年期障害」についてのアウトラインを復習して行こうと思う。

1、更年期とは

 42〜55歳ごろの閉経前後の数年間を指し、成熟期から老年期への移行期をいう。1年以上、月経がない場合に閉経とみなす。女性ホルモンのうち、特にエストロゲンが減少することにより「のぼせ、発汗、肩こり、頭痛、不眠、いらいら、手足の冷え」といったような血管運動神経症状のどのいわゆる「更年期症状」が出やすくなるが、これらが日常生活に著しく支障を与える場合を更年期障害といい、治療を要する。

2、更年期症状が発症するメカニズム

 40代に入ると卵巣の機能が低下し、エストロゲンの分泌量が急激に低下する。血中のエストロゲン量が低下すると間脳の視床下部からはエストロゲン分泌を増やすようゴナドトロピンホルモンが分泌され、視床下部からは卵胞刺激ホルモンが分泌される。通常はここで卵巣からエストロゲンが分泌されるわけだが、卵巣機能の低下によって充分なエストロゲンを分泌することができない。この結果、視床下部は指令を出し続けることになるが、卵巣が答えられない、という悪循環が起きる。この状態に視床下部は、いわば混乱状態となる。そしてこの混乱が同じところ中枢を持つ自律神経にも飛び火すると考えられている。
 またエストロゲン受容体は身体の多くの部位に存在し、女性の身体機能に大きく関与しているため、エストロゲンの欠乏は身体に様々な症状を引き起こす。

3、更年期症状の程度

 「閉経」はすべての人が経験するが、人によって症状の出方はかなり異なる。普段から月経不順があったり、自律神経失調傾向のある人ほど更年期症状がでやすいと言われている。
 ストレスに対する抵抗力も重要なカギとなり、「くよくよタイプ」「依存タイプ」「頑張りタイプ」などは症状が重くなりがちだと言われる。
 またこの時期は、夫との関係、子供の心配(進学・就職・結婚など)、親の介護問題などが浮上してきたり、職場での責任が重くなったりしてストレスが増大しがち。このことがエストロゲン分泌不足に拍車をかけ、自律神経のバランスを乱していくことが少なくない。不規則な生活や過労、睡眠障害などもホルモンや自律神経の乱れに拍車をかける要因となる。

4、更年期症状の種類

 初期には、「血管運動障害(ほてり、発汗、動悸、頻脈など)」や「精神障害(不安、不眠、イライラなど)」がよく見られる。症状は50種類以上に及ぶと言われるが、その代表的なものについて概説する。ただし、症状は一定せず、同じ症状でもひによって程度が異なることを忘れてはいけない。
 また、この年齢に好発しやすい様々な疾患があるので、表のような症状を即「更年期症状」と安易に結び付けてしまうと、対処が遅れかねないことも忘れてはならない。

※代表的な「更年期症状とその説明」については次回につづく。しかし、これだけでもかなりの人が、思い当たるところがあるのではないかと思われる。「自律神経の調整」は、鍼灸マッサージの最も得意とするところのひとつである。もし心当たりのある方は、一度、鍼灸マッサージを受けらて見てはいかがだろうか?


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