カテゴリ:妊娠・育児中の指圧治療( 9 )

emoticon-0128-hi.gif 陰陽からみた不妊症の原因

☆ヒラリーさんの誕生日に、食事にいったサングリアのパエリア。おいしかった!
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 治療院をやっていると、たまに、妊婦さんの腰痛等の治療をしたりすることがある。また、後からわかたことだが、不妊症だった患者さんが、妊娠してしまって、いっしょに歓びを味わったりしたこともある。指圧鍼灸治療は妊娠・出産・育児とは、どこかでかかわり合っている。こんな時、患者さんとのいろんな世間話から、今不妊症で困っている夫婦が実に多いことを知り、改めて驚ろかされた。

 赤ちゃんがほしいのにできない辛さは、わたしたち自身の経験からも痛いほどよくわかる。しかし、あまりに求める気持ちが強すぎると、返って結果はその逆になってしまうものだ。やはり、「不求不得(求めるものは得られず)」というのはこの大宇宙の法則でもある。それに、よく話題になる。体内受精や体外受精など、様々な不妊治療への努力が行われているという。どこかで自分も、何かお役に立つことはできないかと思うときがある。とはいえ、わたしは専門家ではないので、これはあくまでも、おせっかいやきの指圧鍼灸師からのたわごとか、参考意見として聞いてほしい。

陰陽で大切なことはバランス

 わたしたち指圧鍼灸師は、治療でも物の味方でも一つの特有な世界観を持っている。それは「陰陽」という観点だ。これを簡単にいうなら、「この宇宙には相反するものが存在し互いに影響し合うことで、この世界が成り立っている」という考え方だ。例えば、男と女。女が陰で、男が陽。これは陰陽を理解する上で最もわかりやすい。この宇宙にはいつも一定のバランスが働いていている。男女の比は、いつも1対1。世の中が戦争が多い時には、男が多く。世の中が平和な時には女が多い。というのをどこかで聞いたことがあるが、それも含めて、バランスというものが法則的に働いている。つまり、陰陽で大切なことはこのバランスである。

 わたしたちの身体も、実はこのバランスで成り立っている。このバランスが狂うことで、身体の調子が崩れ、あらゆる症状が起こり病気が始まっている。つまり正常か正常でないかは、この陰陽のバランスが成り立っているかいないかの違いである。治療院にみえる患者さんの多くは、このバランスがどこか悪い。悪いからそれが症状や病気となって現れたりするものだ。だから、ここにくる妊婦さんもいかなる理由であろうと、どこかにバランスの問題がある。どうして、そんなことを言うかといえば、妊婦さんの身体を診させてもらうと、ほぼ全員、足の長さが違っていた。つまりそれは、何らかの理由で、背骨がねじれ、曲がって、骨盤の傾きが生じているからである。これは、身体が、助けを求めているときのサインである。このままでは自然治癒力(免疫力)が働かないので、こうしてバランスに不調和が起きていることを知らせているのである。これに対してわかっている治療家は絶対にこのサインを見落とすことはない。

 ではどうして足の長さが違ってしまっているのだろうか?その多くの原因は、ひとつには、ストレスが原因だといわれている。よくみなさんは「自律神経失調症」という言葉を聞いたことがあるだろう。実は、自律神経というのは、交感神経と副交感神経に分けられる。昼間働いている時には、交感神経がおもに働き、頭や筋肉がよく働くように血液も脳や筋肉に多くが注がれる仕組みになっている。そして、夜は、それにかわって副交感神経がおもに働くようになる。夜は、身体を休め、そのぶん消化活動を活発に行ってもらうために、胃や腸や内蔵に多く多くの血液が注がれるようになる。このようにわたしたちの生命の存続に関わるような大切な身体の調整が、自律神経によって行われているのである。

交感神経は陰、副交感神経は陽

 ところでこの自律神経も陰陽の法則が働いている。実は、交感神経は陰。副交感神経は陽である。この自律神経もバランスが大切でどちらか一方に偏っていると、そのままでは、間違いなく人は病気になるのである。とはいっても自律神経失調症の場合は、そのほとんどが、交感神経優位の場合が多い。それは、この不景気な世の中になるとリストラが多い反面、少ない人数で生産効率を上げたいという会社側の願いが働き、どうしても労働時間が長くなる。そうすると集中力や緊張の時間が長くなるため、どうしてもそこに無理が働く。そのために、働くモードの交感神経が強く働くことになり、副交感神経との切り替えがうまく行かない。それが自律神経失調症の始まりである。肩がこる腰が痛い。身体がだるい。食欲がない。夜よく眠れない。生理が不順だ。生理痛がひどい。このような症状が、始まるのである。

 この症状は、男や女関係なく現代人には顕著に現れている。治療院にくるこないは別として、わたしたちの目から見て推定患者数は非常に多い。ということは、「不妊症」という観点からすると、男女雇用均等法がひかれてからは、「不妊症」の原因は、女性にあるのではなく、男女同様にあるということである。自然界は、バランスの上で成り立ている。そこには陰陽の法則が働いているからだ。ところが、現代のように人間の生活が自然から逸脱してしまうとこのような「自律神経失調症」や「不妊症」のどのような病気が発生しやすい状況にある。これが、わが国だけではなく世界中が「少子化」傾向にある原因の一端である。

「不妊症」を治すには、身体の陰陽のバランスを整えてあげることが大切!

 では、「不妊症」はどうしたら治すことができるのか?やはり、結論から言って身体のバランスを整え、もとの自然な状態にもどしてあげることである。本来、健康な男女の夫婦が、普通に幸福な夫婦生活を送っていれば、「不妊症」という問題は起こらない。ところが、どちらか一方でも、自律神経の働きが失調している場合は、妊娠・出産というふうに発展することが、非常に困難なこととなる。だからそうなる前に、前に申し上げた症状がある方は、一度、指圧鍼灸治療を考えてみたらいががだろうか。不妊治療は、高額な医療費を使って、痛い思いをして、さほど素晴らしい成功率が得られないと聞いている。だったら、それを受ける前に一度、指圧鍼灸師に診てもらうことも一考に値すると思う。「不妊症」は、身体のなかの自然界に存在する陰陽のバランスが崩れているからで、そのバランスを正常にしてあげることで、道は開かれていく。それが、指圧鍼灸師が導きだした結論である。
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☆朝の散歩中に写しました。とてもきれいでした。
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emoticon-0128-hi.gif 「お願い、ひっくり返って!」

 私たちは、自分のことでは、まず神様にお願いすることはありませんが、患者さんのことでは、神様にお願いすることがあります。今日は、特にその気持ちが強く働きました。先月の終わり頃から、逆子治療に通ってくれている患者さんがいます。逆子といえば、お灸は効果的な治療ですから、はじめは、「至陰(しいん)や三陰交(さんいんこう)」にお灸をしていました。ところが、なかなか思うように、ひっくり返ってくれません。どうしてひっくり返ってくれないのか?いろいろ考えて自分なりに、ネットや専門書を引き出して調べてみることにしました。そうしたところ、ある同業者のブログに、「逆子の状態は、母体の陰陽のバランスがとれていないことが原因である」ということが書かれていました。

 そういえばわたしが、逆子治療で上手くいっていたのは、もともと逆子治療がはじめではなく、妊娠中の妊婦さんのぎっくり腰とか、腱鞘炎とか身体の治療が目的でした。その中で、「逆子になってしまいました」ということをお聞きして、それでは、「逆子の治療をやってみますか?」というのが、きっかけでした。ですから、まずは、母体のからだの調子を整えてから、逆子の治療を始めていたということに気がついたのです。わたしが今、診させてもらっている患者さんも、「逆子治療をお願いします」ということから始まってしまったので、一応身体の調子をお尋ねすることはしたのですが、一般的な初診の患者さんを診るようには、診察しないで、逆子のお灸を始めてしまったのです。そこに問題がありました。

 確かに、逆子の状態は、西洋医学では、異状でもなんでもないことですが、わたしたち鍼灸師は、陰陽で物事を考えますから、それ自体、「『陰陽のバランス』が崩れているな!」ということに気づかなければならなかったのです。これは明らかにわたしの経験不足でした。人間うまくいっている時には何も考えませんが、上手くいかない時には、必死で「どうしてか?」考えようとします。わたしが今考えているのは、母体が、何かしらの理由で自律神経の働きが「交感神経」優位に傾いている時に、陰陽のバランスが崩れます。つまり陰陽表を見てもらえばわかりますが、「交感神経は陰」であり「副交感神経は陽」なのです。つまり、母体が仕事など忙しい状態で肩こりや腰痛がありながら妊娠してしまった時に、このような逆子の状態になりやすいのです。その証拠といってはなんですが、逆子になってしまった妊婦さんには、よく診察していくと、必ず肩こり腰痛が診られるはずです。

 やはりわたしの患者さんもそうでした。ではわたしが、経験不足で見失ってしまったのは別にして、肝心の妊婦さんはなぜご自分の身体なのに気づかなかったのでしょうか?それには理由があります。それは、妊娠中の妊婦さんの脳からは、もうすでに「ベーター・エンドルフィン」が生成されているのです。ですから、少しくらいの痛みには耐えられるような身体になっているのです。これは、今まで妊娠中の患者さんの身体を治療させてもらってすでにわかっていることでした。ですから、患者さんは、治療されてはじめて肩こりや腰痛があることに気づかれます。それどころか、育児前から、頸肩腕症候群があることがわかったり、大腿神経痛や座骨神経痛があることが、よくあります。つまり、これらの症状があって、出産という試練に立ち向うことはとても難行のような気がします。ですから、妊娠中のお母さんは、産婦人科のお医者さんに診てもらうばかりではなく、一度、わたしたちの鍼灸マッサージ師の診察も受けられるといいのです。ちなみにわたしが、妊娠中の治療をさせてもらった患者さんは、みんな安産でした。

 実は、ここまで書いたらわかってしまうと思うのですが、今日みえた患者さんは、肩こり腰痛がたぶん日常的にあったのだと思います。腕や脚に神経痛の症状が診られました。ですから、同業者の指摘道理、「陰陽のバランスが悪かった」のです。今日でちょうど2回ですが、肩こり腰痛、そして神経痛症状を治療させてもらえました。そのことで、間違いなく母体の陰陽のバランスは、今までに比べて、改善されていることは確かです。ただ、それが、出産にまにあうのか?非常に微妙な段階です。治療する前と治療後では、わたしが触診させてもらた限りでは、赤ちゃんの頭の位置は、違っていました。それが、逆子状態からひっくり返ったのなら、万々歳で、何もいうことがないのですが、実際は、その逆でした。あくまでわたしの経験の範囲での触診ですから、正確とはいえませんが、でもそれだけ動いたということは、また、更に正常な位置に返ってくれる可能性もあるのだともいえます。そんなわけで、わたしは、この赤ちゃんがひっくり返ってくれることを、神さまにお願いしているのです。そして、できたら「自然分娩」というかたちで出産されることを願っています。
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☆カナダ・ビクトリアのジョーンズ・プレスのワッフルがもう一度食べたい。
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emoticon-0128-hi.gif 鍼灸治療で逆子の矯正成功が再現できました

 今週も妊娠中のママさんとベイビーにホットな話題です。先日、「妊娠中の妊産婦のママさんが、鍼灸治療で矯正できた」というホットな話題を紹介させてもらいました。ところが、その同じ妊娠婦ママさんのベイビーが、また、ヒックリかえって、また逆子になってしまいました。そのことを治療院に来るいろんな女性の患者さんに聞いたところ、こういうことはよくあることなのだそうです。彼女の場合は、34〜35週のことなので、矯正できたということで、安心していたのですが、どうもこのベイビーは、お母さんや周囲の大人を驚かせるのが好きな子のようです。予定日は当初、3月の上旬だったのですが、「2月16日の定期検診で逆子の状態でしたら、2月28日に『帝王切開』しましょう」と、お医者さんから予告されてしまいました。

 わたしが、そのことを患者さんである妊産婦ママさんから聞いたのが、2月6日でした。わたしは、その時、すぐに「まだ、10日もある」と思ったんです。「どうする、もう一度、『逆子の灸』をやってみようか?」妊産婦ママは、二つ返事で「やりたい」ということでした。これを読んでくれている女性のみなさんだったらどうするでしょう。お医者さんの言う通り諦めて、「帝王切開」を考えますか?それとも、もう一度、鍼灸治療にかけてみるでしょうか?わたしが、もし妊産婦ママさんの立場だったら、やっぱりもう一度、トライします。なぜならこの数字をみてください。

emoticon-0171-star.gif 逆子に対する鍼灸治療の結果

584例中525例が矯正された

(矯正成功率89、9%)


 明治鍼灸大学 臨床鍼灸医学・教室1987年の報告より

 ちなみにもう少し詳しく報告すると、成功例における治療回数については、3回までが310例(59%)、4回までが412例(78、5%)と、回数が少ない割にはとても高い成功率です。


 わたしの治療は、前回は、報告した通り、右足の至陰のツボにたった3壮のお灸をして1回の治療で矯正できました。ですが今回は、あの時より、切迫感を感じました。それは、10日後に「自然分娩か、帝王切開か」という決断が迫られていたからです。ですから、今回は念入りに、次回の定期検診まで3回、鍼灸治療の予定を組むことにしました。参考までに、わたしの行なった治療を、記録しておきます。明治鍼灸大学の臨床鍼灸医学教室の治療は、両方の足の「三陰交」と「至陰」というツボを使っています。その三陰交には「灸頭鍼(きゅうとうしん)」といってハリの頭にお灸のもぐさをつけて暖める。という方法をとっていましたが、わたしは、「三陰交」には、あったかい温灸。「至陰」は普通の半米粒大のお灸を行ないました。それだけです。そうしたら、なんと、3月16日の定期検診でまた「逆子の矯正成功」の喜びの声を聞くことができました。妊産婦ママさんに「いつひっくり返ったかわかった?」と聞いたのですが、残念ながら、「いつひっくり返ったのかわからなかった」という返事が返ってきました。でもこれで、臨床結果の成功率89、9%という数字が、わたしの臨床でも証明されたのです。3回の鍼灸治療で「逆子の矯正成功」は、間違いないことが。

 最後に、これはわたしの希望ですが、これからの若い妊産婦ママさんたちもお医者さんから「逆子です帝王切開しましょう」と言われても、まだまだ、鍼灸治療があるんだということを忘れないでほしいのです。西洋医学には西洋医学の得意分野があります。しかし、これはほんの一例ですが、東洋医学には東洋医学の、このような素晴らしい得意分野もあるのです。だから、それぞれが、得意分野で歩み寄ればいいのです。そうして両者が歩み寄って行なわれる医療を「統合医療(とうごういりょう)」と言います。お産は、いろんなメリット・デメリットがあるかもしれませんが、人間のからだは、「自然」の産物ですから、できたら「帝王切開」よりも「自然分娩」の方が、いいに決まっていると思います。「逆子」で困っているママさんたち、困ってないで、一度信頼できる鍼灸治療院を訪ねてみたらいかがでしょうか。
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☆カナダ・バンクーバーのスタンレー・パークの中を行く馬車。公園の広さもけた外れに広い。乗客は一人だったが、しっかりガイドをしていた。
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emoticon-0128-hi.gif逆子に対する鍼灸治療

 幸いなことに、患者さんである妊婦ママの「逆子」事件から、わたしは、逆子に対する鍼灸治療を体験させてもらうことになった。幸い治療は上手くいって、逆子ちゃんも「コペルニクス的回転」を行なってくれた。それを機会に、「逆子」について、もっとよく勉強しておくことにした。そこで専門学校時代に「女性・小児の東洋療法」の授業のファイルを引っ張りだして、大切な情報を抜粋することにした。ぜひ、わたしの患者さんのように妊娠中で定期検診で「逆子」では、ということをいわれた妊婦さんは、これを参考にしてほしい。「逆子」といわれても、決してあわてることはない。あなたには、あなたには、鍼灸治療を行なう強い味方の鍼灸指圧マッサージ師がついている。もし、そのようなサポーターがいない人は、是非この際、信頼できる鍼灸指圧マッサージ師を探しておくことをお勧めする。

1、「逆子」とは

 通常、胎児は頭を下にした姿勢をとるが、何らかの原因で頭が下にない状態になってしまった場合をいう。妊娠30週頃では全体の約30%にみられるが、40週になるころには2から6%程度になる。骨盤位では最大径を持つ頭が最後に出てくるため、頭が先進する頭位よりも危険であり、児死亡率は、頭位の2から5倍となる(約5%)。初産婦より経産婦に多くみられる。

2、逆子の分類
 
 胎児の姿勢によって殿位、足位、膝位、という。発症頻度は、殿位70%、足位30%、膝位1%。


3、逆子の原因

 羊水過多症、子宮筋腫、前置胎盤、双胎、狭骨盤、などでよく見られる。

4、逆子の一般的な治療

 骨盤位(逆子)に気づいた時期にもよるが、早い時期であれば、自然に治ることもある。なかなか良くならない場合は、逆子体操をしたり側臥位で寝るなどの工夫をしたり、鍼灸治療を受けることもある。38週ごろになっても頭位にならない場合は「外回転術」といって、医師が妊婦の腹部を触診しながら胎児を回す方法とられることもある。

5、逆子の出産

 経膣分娩も可能であるが、分娩時の鎖骨や上腕骨の骨折、上腕神経叢麻痺、斜頸などのリスクが頭位分娩に比べると高くなる。経膣分娩が可能となるのは、単殿位もしくは複殿位、推定児体重が、2000から3500g、母体の狭骨盤がない、などの条件をすべて満たし、かついつでも帝王切開に切り替えられる準備と新生児蘇生ができる環境が整っている場合のみ。かつては「逆子を経膣分娩させることができて一人前の産科医」と言われたため、分娩時のトラブルも多かったと言われる。今日では諸々のリスクとのバランスを考え、帝王切開を勧められることが多い。

emoticon-0171-star.gif6、逆子に対する鍼灸治療

 骨盤位(逆子)に対する鍼灸治療は、原則的に対象となる。しかし子宮の奇形、多胎妊娠、重症妊婦中毒症、前置胎盤など、器質的問題が背景となる場合は、鍼灸治療不適、もしくは矯正困難である。

 至陰や三陰交という経穴(ツボ)を使って治療を行なう。その結果、584例に対し至陰に半米粒大3壮を中心に東洋医学的治療を行なったところ、525例が矯正された(矯正率89、9%)。成功例における治療回数については、3回までが310例(59%)、4回までが412例(78、5%)であった。
 妊娠33週目の初産婦260例を対象に半数に至陰のがまんできるギリギリの熱さの棒灸(片側15分ずつ計30分)を、半数には一般的な治療を受けてもらい、結果を比較。分娩時に介入した群では、130例中98例で骨盤位(逆子)が矯正されており(75、4%)、介入しなかった群(130例中81例、62、3%)と比較することによって、灸治療の有効性を示した(Cardiniらの報告、1998)。
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☆カナダ・バンクーバーのスタンレー・パークにあるトーテンポール。カナダでは、先住民の芸術や文化を大切にしている。異文化を尊重し融合していける社会こそ成熟した国家といえる。
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emoticon-0128-hi.gif妊娠ママと逆子を救った「至陰(しいん)のお灸」


 治療の世界にいるといろんな不思議な体験をする。いつも驚くことばかりである。その中にはとびきり嬉しくなる出来事も。今日は、とびきり嬉しいニュースをみなさんにも報告したい。今わたしのところには、妊娠35週を迎える妊娠ママが患者さんで見えている。以前から見させていただいている患者さんだが、今回、受診に見えたたきっかけは、「ぎっくり腰」。妊娠中のぎっくり腰であるが、ふと八倉治療院を思い出してくれて、治療にきてくれた。治ってからも、そのまま、座骨神経痛・大腿神経痛・頸肩腕症候群などの治療を継続的に行ない。よくなってからもその後、継続的に治療に通われていた。そんな妊娠ママが、前回1月6日に見えた時、こんなことを打ち明けてくれた。「実は、定期検診でわかったことなんだけど、どうもおなかの赤ちゃんが逆子みたい」ということだった。初産ということで何かと不安なことが多い状況の中で、「逆子」といわれたのは、彼女にしてみれば、少しショックであったみたいだ。

 そのことを打ち明けられたわたしの頭の中は、忙しかった。確か専門学校時代、「逆子」について鍼灸治療が有効であるということを聞いた記憶がある。しかも、少なくとも2〜3人の先生から聞かされていた。それがどんな治療であったか、定かではない。たしか、足のどこかの指に、お灸をしたら、ウソみたいに赤ちゃんの方から上手にひっくり返ってくれるという。「そんな話って本当なのかなあ」って思った記憶までも鮮明に思い出されてきた。でも、それが足のどの指だったのか。なんという経穴(ツボ)なのかもはっきり思い出せなかった。それもそのはず。治療する患者さんの中で、何人かはいるといっても、妊婦さんを治療することは、そんなにめったにあることではない。数としては極まれである。しかも、その妊婦さんが、定期検診で医者から「逆子」であるといわれたことを話してくれるなどということは、わたしにしてもはじめての経験だったからだ。

 でも今だから正直いうと、その患者さんから「逆子」ということを聞いたとき、わたしの頭の中には、「やった。これは、もしかしたら、わたしもその逆子に対する鍼灸治療ができるチャンスがやってきた」と思ったことも確かである。いつもの治療が終わると、早速、治療室のパソコンで調べてみた。すると、それが、「至陰(しいん)のツボ」であることがわかった。「至陰」というのは、足の小指。爪の外側の生え際あたりにあたるところである。特に、女性は、東洋医学的には「陰」なので、右足が重要。そこに小さな米粒半分くらいのお灸を3壮(そう)やってみた。たったの3艘である。その3艘が、彼女の体に奇跡を起こした。たったの3艘のお灸によって患者さんのおなかの中は、「あったかくなく感じがした」という感想を聞くことができた。だからわたしは密かに期待をしていた。しかし、未経験のわたしは、頭の中では、「『至陰のきゅう』がたった3壮でそんなに上手くいくものなんだろうか?」そういう気持ちもあったことも確かである。

 そういうことから、待ちどうしい気持ちでわたしたちは、昨日、彼女の治療日の予約の日を迎えた。早速、彼女は、治療室に入ってくるなり、最近の定期検診で「逆子」が正しくひっくり返っていたことを報告してくれた。これは、わたしたちにとっても、ベリーベリーグッドな嬉しいニュースだった。思わず、嬉しそうな患者さんを前に、わたしもヒラリーも喜びで興奮してしまった。そして、神様が起こしてくれた奇跡に感謝した。「逆子を救う『至陰のきゅう』」って本当にあるんですね。わたしたちは、はじめは、単に患者さんの喜びが、わたしたちの喜びのように感じられた。しかし、よく考えると、それは、知識が、単なる知識ではなく、実際に臨床の世界で成果を収めたことに対する歓びでもあった。そして、あらためて奇跡を呼び起こす鍼灸の世界のすごさ素晴らしさに感動した。

 でも一日経って冷静に考えると、その喜びも違うものへと変化していった。だって、確かに、奇跡を呼び起こす鍼灸の治療もすごいのだが、それ以上に、たった3壮のお灸で、逆子を正常な位置に戻した。人間のからだの素晴らしさって例えようもないくらいに、すごいのではないのだろうか。どうもわたしには、こちらの感動の方に目が注がれていった。やはり「わたしたち人間の体は完璧なのだ」たった3壮のおきゅうで母体に何らかの変化が生じ、その変化を見逃さず、胎児が本来の体の正しい位置を知り、自分で修正していくこの力。この体に備わった素晴らしいシステム。やはりこれは、人智が及ぶものではない。そんなふうに感じられたのであった。
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☆ニュージーランドの原野。これも一枚の絵画のようです。
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emoticon-0128-hi.gif 八倉治療院は、母親になる女性の味方です

 患者さんも長く通ってくれるようになると、いろんなことを話してくれるものです。特に最近では、若い患者さんも増えたことで、産後の女性のからだを治療をさせていただくことで、いろんな勉強をさせてもらっています。彼女達が語ってくれるお話から、八倉治療院は、もうすっかり「女性の見方」になってしまいました。
 
 専門学校時代は、「女性・小児の東洋療法」というような授業もあったのですが、子供のいない私には、ピンとくるものがなくて、正直あまり気乗りがしませんでした。ところが、以前、妊娠中の妊婦さんの治療をさせてもらってから、私の意識は、全く変わりました。初めて出産を前にした患者さんを診させていただくことで、私も「出産」というものを意識するようになってしまったのです。治療家というものは、患者さんの立場に立ちあれこれと考えを巡らすものです。例えば、もし自分が、こんなに大きなお腹をして生活するとしたらどんなだろうか?もし自分が、お産をする立場になったら、長時間の苦痛に耐えられるだろうか?そんなことまで考えるなんて変と思われるかもしれませんが、ある面、そこまで感情移入しないとこの仕事は、務まらないかもしれません。少なくとも痛いところに手が届くというのは、そういう心理的作業を通して初めて可能となるのです。

 患者さんから聞いた話によりますと、お産の平均的所要時間は、12時間から14時間くらいだそうです。その間に、何度も何度も「陣痛」という母親になるための洗礼を受けます。それがどうも並の苦しさではないようなのです。長時間にわたるので突然襲ってくる眠気や陣痛に、何度も意識がもうろうとなったといいます。そういう話を聞いていますと、「お産」というものが、いかに女性にとって、命がけの「過酷な試練」だということが、実感できるようになりました。ましてや、36時間の自然分娩を体験した患者さんの話などは、私の想像の粋をはるかに超えていて、想像もつかない世界のような話のように感じられるのです。だから、最近では八倉治療院は、何があっても「女性の味方」を宣言するようになりました。

 つい力が入って、前置きが長くなってしまいましたが、「出産後の体の痛み」に話題を戻します。よくお産の後に、腰の痛みを感じる女性は、ほとんどのようです。考えてみれば、お産は、長時間にわたり筋肉運動を行うわけですから、筋肉痛をともなうのは当然のことなのです。特に痛める筋肉は、腹筋・背筋・大腰筋・腸筋・臀筋など、その他は、大ざっぱな言い方をすれば、全身の筋肉のすべてです。その中でも痛め易いのは、骨盤まわりの周辺筋肉です。つい最近では、仰向けに寝るとそれだけで尾骨のあたりが痛む、という女性がいました。それは、腸腰筋や梨状筋など、通常、腰痛や座骨神経痛を引き起こす原因といわれている筋肉等の問題が、根底にあると考えられます。しかし、それももとをただせば筋肉の拘縮が原因ですから、指圧治療が、最も効果的な治療法です。現に私のところに来ていただいている患者さんは、みんな出産後の体の痛みを解消できています。もしお困りでしたら、病院ではなく、鍼灸師や指圧マッサージ師にぜひご相談下さい。それを知らないで、2度目の出産に突入する方も中にはいらっしゃるようですが、これは、私たちからしてみれば、あまりに過酷な試練に挑もうとしているとしか言いようがありません。

 そして最後に、出産後、クシャミや咳などをした時に、「腹圧性性尿失禁(尿もれ)」を経験されたことがある方が、意外と多いようです。これは、「骨盤底筋」(肛門を締める時などに使う筋肉)といいまして、女性の骨盤底は、こうした筋肉で支えられていると言われています。こういう筋肉の働きが、出産を経験した後に一次的に弱くなっていて引き起こされるのが、腹圧性尿失禁です。こうした問題も、治療をしながら、ちょっとした体操をすることで解決できることもあります。ですから、何かお困りのことがありましたら、何でもかかりつけの治療院で相談されたらいいと思います。少なくとも八倉治療院はこれからも、妊娠・出産後の女性の味方です。いつでもお役に立てるようにこころがけていこうと思います。
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 以前、妊娠中の患者さんの指圧治療をしました。それまであまり気づきませんでしたが、子供の成長と共にどんどんでてくるお腹。その生命の重さに妊婦さんの腰は悲鳴を上げています。しかもその重さは、出産まで続き解放されることがありません。やはり、夫をはじめ、まわりにいる家族は、そういう妊婦さんに気遣い、できることなら援助の手を差し伸べてほしいものです。私たち、鍼灸マッサージ師もそういう面で、もっともっとしてあげられることがたくさんあるような気がしました。

 今回もまた、考えさせられてしまいました。実は、以前、腰痛を診て差し上げた患者さんから、電話がかかってきました。「実は、うちの娘が最近赤ん坊を産んで、抱っこしていて手が腱鞘炎みたいになってしまったんだけど、そういうのって治りますか?」というような内容でした。その電話を聞きながら、昔旅行で知り合った、ある女性友達のことを思い出した。やはり彼女も、結婚して出産して、子育てに専念していた頃、同じように「腕が痛い。手首が痛い」と言っていたのです。どうも彼女の書いてくれたメールを読ませてもらうと、「私だけではなくて、まわりにいるママ友たちも、同じように肩こり・手首の腱鞘炎などで困っているみたいです」と言っていました。

 そういえば確かに、育児で赤ん坊を抱きかかえるのも日常となれば、大変な負荷がかかってくることが予想されます。しかもこちらも、妊娠中と同じように、赤ちゃんの成長と共に日増しに重さが増してくるのです。これはもう、こころやさしい鍼灸マッサージ師としては、「ママ友たちの悩み」なんていって片づけては入られない大きな問題のような気がしました。この「手首の腱鞘炎」を少し説明させてもらうと、とてもバカにならない深刻な症状なのです。

 はじめは肩こりから始まります。そうすると当然首こりも始まります。首にある前斜角筋と中斜角筋の間に挟まった、くびの神経=頸神経叢(けいしんけいそう)や鎖骨下動脈を挟んで締め付けてしまいます。そして、今度は鎖骨と胸筋の間でもまた挟んで締め付けられます。このようにして痛んだ神経は、思うように支配する腕の筋肉を動かすことができず、筋肉痛を起こすわけです。特に腕や手の筋肉を支配している3つの主な神経。撓骨神経・正中神経・尺骨神経などを痛めてしまうと腕の筋肉も正常には動いてくれません。ですから、肘や手首周辺に痛みを感じ、ひどい場合は、シビレを伴うようになるのです。これはもう、「頸肩腕症候群」と同じ症状です。つまり、こうなると「肩こり」ではなく立派な「疾病」の部類に入ってしまうのです。しかも厄介なことに、お医者さんでは簡単に治せない「病気」になるのです。

 でも安心してください。こういう時こそ私たち「鍼灸マッサージ師」まかせればいいのです。相手は、自分が生んだ可愛い大切な赤ちゃんですから、つい無理をしがちです。可愛い赤ちゃんや子供が泣けば、母親は、痛む手や腕を犠牲にしても無理に抱こうとします。また、子供にせがまれるままに、長い時間、おんぶや抱っこを続けてしまいます。しかし、こうした「愛情の代償」が、容赦なくお母さんの腕を悪化させてしまうのです。こういう時は、無理をしないで早めに信頼ある「鍼灸マッサージ師」のいる「治療院」に訪ねることをお勧めします。はやく行けば、あまり痛くなく簡単な治療で楽になります。ところが、無理してほっておくと、治療するのは容易ではありません。「鍼灸マッサージ師」であっても簡単に治すことができないのも、この「頸肩腕症候群」という病気です。ですから、そうならないうちに早めに受診してほしいのです。

 
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 もしかしたら私達「鍼灸マッサージ師」の指先は、医者がいつも使っている「聴診器」のようなものかもしれない。それによって患者さんの身体の様子などいろんな情報を手に入れる。治療しながら、患者さんの身体と「対話」するのが、私達の大きな仕事。そういう感覚で、この前みえた妊娠中の患者さんの治療にあたる。そしたらどうだろう、私は、すごく興味深いことに気づかせてもらった。

 よく「お産」は、「女性だからできること」だと言われる。もし男性だったら、「陣痛」のように何時間にもわたる激しい苦痛を耐えることができない。そこに女性ならではの「強さ」の本質がある。「お産」ができるから女性は「強い」のか。女性が「強い」から「お産」ができるのか。その点は、よくわからないが、どこかその辺に「女性の身体(からだ)、だからできること」があるのではないかと思う。だから、いつもの初診の患者さんを治療できる楽しみに加え「妊婦さん」の身体を診させてもらうことに大変興味があった。

 私が診させていただいた患者さんは、30代の後半の「妊婦さん」であった。出産経験は2回目。さすがに8ヶ月ということでお腹も大きかった。初診ということで、お話を伺うと、「1ヶ月前から突然背中が痛くなり立っていられないほどだった。普段「骨盤ベルト」をしている時には、痛みは和らぐのだが、それでも肩こりがあり、やはり一番つらいのは腰痛かな」ということを話されていた。多分、ほとんどの妊婦さんの共通した悩みであろうと思われた。前に、専門学校時代の授業で、「妊産婦体験ベスト」といって、おもりの入ったベストを着て妊産婦のおかれた状態を体感したことがある。時間が経てば経つほど重くなった。こんなおもりを10ヶ月も身体に身に付けるなんて、なんて過酷なことだろうと思った。まさに、私の目の前の患者さんは、その過酷さを現実のものとされているのだ。だから、肩こりがあって当然。腰痛があって当たり前なことなのである。

 「こり」というのは、若くてもお年寄りでも、ほとんど誰もが体験する状態である。中には、押したり揉んだりすると、「コリコリ」とか「メリメリ」というような音を立てる患者さんもいる。それもひとつの指先が捉える感覚である。ところが、それとは別に、「筋肉の質」というものがある。運動している人とそうでない人の違い。若い人とお年寄りの違い。治療していて、一人一人の違いが、面白いほど、明らかになってくる。不思議なことに、その感覚というのは、言葉では表しにくいのだが、一度治療させてもらった患者さんの身体の状態。「筋肉の質」は、しっかり私の記憶に残される。だから、何週間、いや何ヶ月後に、その患者さんがお見えになろうと前回との身体の状態の変化を、はっきり指摘することができる。そのくらい私達の指先は、優れたセンサーを身につけている。だから、患者さんの「身体との対話」ができるのである。

 私が、治療させてもらった「妊婦さん」は、もちろん「肩こり」「腰痛」などのこりは、もちろんあった。ところが、私が驚いたのは、「筋肉の質」である。言葉は失礼かもしれないが、とても30代の後半を迎えた、女性の身体には思えなかったのである。とても「やわらか」で柔軟性がある。それは10代の女性の「筋肉の質」に感じられたことだ。しかも、運動選手のような「しなやかさ」がある。これはとても驚くべき事実だった。「出産」の過酷さは、その長時間に渡り、激しい筋肉の収縮運動が行われることにある。ある筋肉は、激しく引き延ばされ、またある筋肉は、持続的な収縮運動を求められる。時間が長ければ長いほど、疲労物質の「乳酸」も当然たまってくる。苦しさは、過酷に高まっていくことだろう。それに耐えうるためにも筋肉は、「やわらかく」「しなやか」でなければならないのである。そのために、高齢出産は、危険が伴い、お産は若ければ若いほど有利だとも言える。

 私は、本当に感動してしまった。多分おそらく、これは私の仮説だが、おそらく大体「出産」を控えた「妊婦さん」の身体の「筋肉の質」は、このような状態になっているのではないだろうか。だから、女性は、「出産」という過酷な試練に立ち向かえるのではないだろうか。ホルモンによって赤ちゃんが育ちやすいように胎盤が用意される。そのために「つわり」の起こる。これと同じような働きで、「筋肉の質」も10代のような「やわらかく」「しなやか」な状態に変化するのであろう。もちろん「ホルモン」を通してこのような身体に少しずつ変化していく。そのホルモンのはたらきに命令をくだし、調整させていくのは、「自律神経」と同じ「間脳」である。つまり、そこには、人間の力を超越した「自然の摂理」が働いている。もっとわかりやすくいうなら、神様が、「出産」という宿命を持った女性に対して、「産み」易い身体になるように応援してくれているのである。そこに、私たち人間を想像した「創造主」の「やさしさ」が感じられるのである。そう考えるのは、私だけであろうか。もし、この仮説を裏付けるためには、もう少し、複数の「妊婦さん」の身体を診させてもらわなければならないだろう。

 それにしても昔、師匠が私に「人間の身体は、神そのものです」と話されたことを思い出す。人間が窮地に立たされる時、ある時はこのように「やさしく」応援してくださったり、また、ある時は、「病気」という形で、私たちに強い「警告」を発してくださる。以前、「病気は気づきのためのメッセージ」という記事で書かせてもらったことだが、そこには、私たちに、「はやく気づいて欲しい」という。神様のやさしい「意志」というものが感じられるのである。私たち「鍼灸マッサージ師」というのは、患者さんの身体と「対話」するのが仕事。といったのは、治療を通して、いろんな情報を得るからだ。時には、それが、意味のある深い「メッセージ」を感じるときがある。私には、師匠の「私たち人間の身体は、神そのものです」といった言葉が、とてもわかるような気がするのである。

 
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 治療院を開業していると、いろんな患者さんが訪れてくれる。そこが開業病院と治療院の違うところ。また、病院は、検査という項目を外せば、基本的には、病気をしている人しか、用のないところである。ところがその病院でも、全く健康なのに行かなければならない科が存在する。それはなんだろう?そう「産婦人科」である。妊娠も出産も身体が健康であればこそ可能なこと。しかし、いくら健康な人が集まるところとはいえ、その症状は、ほとんどの人が、病人と同様のつらい症状に悩まされている。ところが、男性の私には、今ひとつピンと来ないのが、この妊娠中の女性のこころと身体である。もし、私が、子供でもいれば、全く意識が変わっていたかもしれない。これまでに、それがなかったために、間抜けな話だが、肩こり腰痛の妊娠中の患者さんが、訪れてはじめて、妊娠中の女性のこころと身体について考えさせてもらうことになった。

 生理をむかえた女性のこころと身体。更年期をむかえた女性のこころと身体。そういいことに対しては、専門学校在学中によく勉強してきたので、それなりに理解していた。受け入れる準備は自分でも一応できていた。また、そういう患者さんは、これまでも多く見えていたのであまり戸惑いもなっかった。ところが、ある日、妊娠中の女性から電話をいただいた。「妊娠していて、つわりがひどく困っています」という電話だった。ところが、私の頭の中では、「妊婦さん」を除外して考えていたのだ。「病気」でもない「未病(病気まではいかないが、健康であるとは言えない)」でもない。だから、わたしの診させていただく患者さんではない。こんなふうに私の頭の中で勝手に考えてしまった。「妊娠何ヶ月目ですか?」と聞いたところ「1ヶ月ということだった」ああ、それは確かに「つわりがひどいのもわかるな…」と、そんな薄情な思いで患者さんの電話を受けてしまっていたのだ。更にバカなことは、「すいません。今まで“つわり”の治療は経験がないんですが……」と本当にどうしようもない受け答えをしてしまった。後から悔やんでも悔やみきれなかった。日頃から「困っている人の力になりたい」。「人助けのための治療院を目指そう」としていたのに……。こともあろうに、助けを求めてきた妊娠中の女性を、私の方から「拒否」してしまったのも同然であった。これでは、「病気を診て人を見ない」お医者さんとまったく同じである。苦しんで困っている人を前になんて冷たい言葉だったろう。本当に、自分でも情けないくらい後悔の気持でいっぱいになった。

 そんなこともあり、妊娠中の女性に対して今度は後悔のないようにもっと優しくなりたいと思っていた私に、もう一度再びチャンスが訪れた。この患者さんは、妊娠8ヶ月で、お腹ももう相当大きかった。「肩こり」「腰痛」で困っていらっしゃった。私は、前の件で、妊娠中の女性の身体や治療法に付いて改めていろいろ調べてみた。調べてみるとこれといって、決まった治療法があるわけではないが、困っている症状をよく聞いた上で、その症状を緩和するような方法で治療にあたればいいことがわかった。特に、指圧やマッサージなどの「手技療法」は、初めてのお産を控え、「不安」を抱えている妊婦さんには、こころに安心感を与え、身体の調子を整えるのに「最適」な治療であることがわかった。考えてみれば、私が「更年期障害」に苦しむ女性に対する治療に成功したのも。「更年期障害」という決められた症状に対する治療法なんてなかった。もし借りにあったとしても、人それぞれみんな、症状が違うわけだから、そんな通り一遍とうな方法など通用するはずがなかった。それこそ「病気を診ず、人を診る」鍼灸マッサージ師の本領を発揮する大きな見せ場なのである。特に、心理的につらい症状を人に話すだけでも、楽になるのに、それに応えて人から治療が受けられるというのは、どんなにこころ強いことであろう。

 話を妊婦さんに戻すことにしよう。妊娠中の妊婦さんの体重は、10キロから15キロぐらい増加するらしい。その体重は、妊婦さんの身体の前面へ重く垂れ下がる。だから、妊娠中は、肩こりや腰痛に悩まされるのは、当然なことなのである。専門学校在学中、「女性・小児の東洋療法」という授業で、実際に妊婦さんを想定したおもりのはいったベストを身につけ体感する授業があった。これを妊娠期間中、ずっと身に付けているとしたら、本当にこころも身体も、何か「拷問」でも受けているような気になってもおかしくないと思った。しかし、残念なことにそういう授業を受けながらも、月日が経つと忘れてしまうのが人間なのである。「医療」という現場にいながら、その程度の認識なのである。ましてや、妊婦さんの夫といったら、まだ若くて、人生経験からいっても妊娠中の女性のこころと身体に対して「共感」を得ることはなかなか難しい。自分自身が、仕事に終われる毎日で、お産を控えて苦しむ若い妊婦である妻の気持を、理解してあげられないのは当然かもしれない。そういう問題もすべて覚悟したうえで妊婦さんたちは、「肩こり」「腰痛」に苦しみに耐えているのである。

 世の中に、もしそのようなことを少しでも理解して、話を聞いてくれる「鍼灸マッサージ師」がいたならどんなにいいだろう。そして、一生懸命に妊婦さんのつらい症状を治療で治してくれる「鍼灸マッサージ師」いたらどんなに素晴らしいことだろうと思う。若い女性の皆さん。そういう「鍼灸マッサージ師」をできたら結婚する前に探しておいてください。そうすれば、あなたの人生の一大事である「妊娠と出産」という難問の半分は、もう解決されたも同然です。
 
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