大学時代の友人Sさんをしのんで

☆Sさんの思い出の地、清里高原の清泉寮の牧場に咲いていたコスモス
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 大学時代の友人Kさんから、突然の訃報が届きました。「八倉君、私すごくショック。昨日Sさんが亡くなったんだって。死亡原因は、脳から出血したみたいよ」知らせを受けた私も大ショックでした。というのもつい最近、Sさんから携帯でメールをもらったばかりだったのです。先月でした。私は、9月9日に清里高原に旅行に行ってきました。その時の話題をこのブログで紹介しました。特に清泉寮で遊んだ時のことを書いたのですが、「清泉寮は、とても懐かしい私の思い出の場所です」というようなメールでした。時々私のブログも覗いていてくれているそうで「なかなか忙しくていつもじっくり読んでいられないんだけど、また、今度ゆっくり読ませてもらいます」そんな感じのメールでした。

 Sさんは、私と同じ大学の同じ国文学科の学生時代を送った仲間です。当時「みずひき草」という同人雑誌のサークルの仲間でもありました。彼女は、学生時代から、明るくてやさしくて、とてもまじめな人でした。だから、よく大学の定期試験が近くなると、彼女のノートをコピーさせてもらいました。「Sさん、お願いノート、コピーさせてくれない?」とたのむと「うん、いいわよ」と二つ返事で感じよく助けてくれました。私も大学時代は決して不真面目な学生ではなかったのですが、たくさんの資格を取るために少し無理をしていたのです。でもこうして、無事に大学を卒業できたのもSさんのおかげです。大学を卒業してからもう何年も経つのに、未だにノートに書かれていたSさんの字を覚えているくらいですから、相当、Sさんに助けられたことは確かです。

 また、誰にとっても大学時代というのは、まさに青春時代の真っただ中です。特にサークル仲間とは、よく熱く夢を語っていましたから、旅行に行ったり、大学の図書館や仲間の下宿でよく、雑誌の編集が終わった後などにお酒を飲んだりおしゃべりしたりして、楽しい学園生活を送っていましたから、いろんな思い出が、込み上げてきました。しかも、私達は、大学の「ホームカミングデイ」で何十年かぶりの再会をはたしたばかりなのです。突然でしたが、大学時代の東京近辺にいる仲間で来られそうな人に声をかけてもらい、4人ほど昔の仲間が再会しました。その中の顔を揃えてくれた仲間の中にSさんもいてくれたのです。それがちょうど1年前です。何十年ぶりのキャンパスの中や思い出の大学付近をいっしょに歩きました。昔懐かしい食堂でランチを食べました。また、大学の駅の近くで、思い出話や近況報告などをお酒を飲みながら語り合ったのです。本当に懐かしくて楽しくて時間の経つのも忘れるくらいでした。

 そのひと時が、余りに楽しかったのでSさんは、あとで自分の娘さんに「今日、大学のホームカミングデイで懐かしい大学時代のサークル仲間に合ってきたのよ」と、話らしいです。その中に私の名前があったみたいで、その娘さんからも、その夜に訃報のメールをいただきました。もちろん、あったこともない娘さんです。しかも、「私に直接お話ししたい」とわざわざ葬儀の準備で忙しい合間を縫って、電話までいただきました。娘さんは、大学をご卒業されたばかりと伺っていました。あったこともない大学時代の友人の娘さんと電話で話をする。しかも、お母さんの突然の逝去の直後、というシチュウエーションにさすがに私も動揺しました。なんて声をかけてあげればいいのか言葉が見つかりませんでした。

 Sさんは、まだ55歳の若さです。誰がそんなに若い死を予測できるでしょうか。しかも事故とかではなくて、「脳溢血」という突然の病名の死亡診断です。今から思うと再会した日に身体の「不定愁訴」を確かに訴えていたことを思い出します。「いつか八倉くんに診てもらおうかしら?」こんなことまでいっていたのを思い出しました。そういえばあの時、Sさんの姿勢がたよりないのに気づいて気になっていました。「うん、ちょっとSさん悪そうな感じする」私とSさんしか、耳に入らなかったくらいの二人の会話でした。でも確かに、あの日、私とSさんは、そんな会話を交わしていたことは確かでした。でもこんな会話は、後になってとても心に残るものです。特に、私が医療に携わる人間だとなおさらです。

 もし、あの時点で、私がSさんの身体を診させてもらっていたらどうだったのだろう。そんなことを、今でも時々よく考えます。そうでなくても私は、よく患者さんの病気を発見します。時々ですがよく病状を隠して治療に見える方がいます。この前も「肩こり」できた患者さんですが、「これは、もしかして胃に何か問題があるかもしれませんから、一度病院で検査をしてみてはいかがでしょうか?」と提案させてもらったところ。患者さんのほうから「実は、最近病院で胃がんの恐れがあるからといわれています。そして精密検査を予約してきたばかりなんです」というふうにいわれました。また、どうも心経の経絡を治療していると痛がる患者さんがいると「やはりこれは、循環器に問題があるな」ということがわかります。

 ですから、Sさんの場合も、もし1年前に私が、言葉通りにSさんの治療をしていれば、きっと、「循環器」の異状に気がついたかもしれません。それから、娘さんの話だと、最近は血圧が高いのを気にしていたようです。身体は、大変な病気が起きる前に必ず痛みや症状で私達に「予告」をします。実は、Sさんのように健康であまり病気とは無縁だった人ほど無警戒で危ないのです。私は、治療前に必ず「問診」や「触診」で身体の症状を事細かにチェックします。「治療」をしていれば、必ず何かしら「予告」を感じてアドバイスができたはずです。

 「もしかして……」は、あくまで仮定の話ですが、やはり、私は、同級生の友人を亡くすことは、言葉にはいい表せないくらい、悔しい気持で心残りがするのです。今となっては、私にできることは、自分の回りから、またSさんと同じように若くて、一見病気とは見受けにくい人を「未病」の段階で助けて差し上げることしかありません。それができるのは、「不定愁訴」を見逃さない私達のような「治療院」しかみあたりません。そういう意味でSさんは、私に大きな教訓を残してくれました。Sさん本当に今までありがとうございました。あなたの明るさやさしさは、決して忘れはしません。若くしてなくなったSさんの冥福をこころよりお祈り申し上げます。

☆不定愁訴………特定の病気としてまとめられない漠然としたからだの不調の訴え。頭が重い、疲れやすい、食欲がないなど。
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by yakura89 | 2009-10-24 16:35 | 未病治 | Trackback | Comments(0)
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