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2:自然治癒力を癒しの原点におく治療院

☆「あ、富士山だ!」と、日本人なら誰もが思うかもしれない。実は、この山は、ニュージーランド北島のトンガリロ国立公園にあるマウント・ナウルホエ(標高2291m)。世界遺産に登録されている。
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029.gif2:自然治癒力を癒しの原点におく治療院

 生命が本来、自らのものとして持っている「自然治癒力」を癒しの原点におき、この自然治癒力を高め、増強することを治療の基本とする。


 現代西洋医学が、医療器具に何千万円もの設備が必要なのに対して、私たちのような鍼灸・指圧は、とてもシンプルである。「一本のハリ、一つまみのモグサ、一本の指先の感覚、これが鍼灸・指圧の原点」というように物に関していうとほとんど何もいらない。というのは、その背景に自然治癒力という素晴らしいものがあるからだ。だから、手品師が、観客の目の前でパッときれいな花を咲かすように「奇跡」が起こるのである。でも、それは手品同様、種も仕掛けもある世界である。自然治癒力という素晴らしいものが背景にあるからで、これがなければ、花も咲かないし、帽子からハトも飛び出してはこないのである。

 ところが同じ「医療」とはいっても、「投薬主体」の「西洋医学」と「自然治癒力主体」の「東洋医学」では、考え方の根本に違いがあるようだ。先日、70代のある女性が、患者さんからの紹介ということで治療院にみえた。はじめの問診では、いろいろ質問させてもらう。いつも八倉治療院では、必ず聞くことのひとつに、「糖尿病がありますか?」という質問がある。というのは、糖尿病というのは、毛細血管が損傷していく血管性の病気である。また同時に、抹消神経の損傷も激しく、疼痛が全身症状としてみられる神経性の病気ともいえる。だから、神経や筋肉の治療を専門とする私たちのような鍼灸・指圧師には、治療効果が期待できにくい患者さんなのである。ということで一時、大変悩んだ時期もあった。「治療院」という看板をあげている以上、そう簡単にお引き受けできないと思ったのである。しかし、糖尿病の患者さんこそ、肩こりや腰痛等の疼痛がひどく、そのために、血液循環を改善し、疼痛を和らげてあげなければならなかった。だから、この患者さんが、腰痛が主訴でみえたときには、痛みが改善できれば、ということで試しに3〜4回治療して、その様子をみることを勧めてみた。

 ところが、3日後に治療後の様子をうかがうためにお電話させてもらったところ。「少しは楽になったのですが、やはり痛むので、今日病院に行ってきました。整形外科で、痛み止めの筋肉注射を射ってもらってきました」ということであった。これはよくあることで、患者さんが痛みを訴えると、痛みや炎症を抑えるということで、ステロイド注射を安易に使用されてしまうのである。ステロイドというのは、痛みや炎症を抑えるためには、最終的な最も効果が高いクスリであるといわれている。ところが、どのようなクスリにも副作用がある。特に、効果が高いといわれているクスリこそ、その副作用が大きい。特にこのクスリの特徴は、免疫力=自然治癒力の低下を招く。大変こわいクスリでもあるのだ。

 そこで第一に考えてほしいことがある。私たち人間の身体というのは、無駄なものは一切ない。どうして、神経が痛むのかといえば、身体のどこかに危険な状態があるからだ。腰が傷むのは、筋肉や神経が損傷され、痛くて動けない状態にすることで身体は、しばらくの休養を必要しているのである。つまり、自然治癒力が、働くための時間を要しているのである。こういう時は、正しい治療と休養が、求められている。つまり、それを「注意」や「警告」として、私たちに知らせるために神経は正常な働きをしているのである。ところが、痛み止めの注射を、こういう時に射つということは、正常な働きをしている「神経」の働きを、力ずくで抑えてしまうことになる。こんなことをして身体にいいはずがない。注射の回数が、進めば進むほど、私たちの身体は、身体回復のためのメカニズムは、完全に破壊され、最終的には、治療できないぼろぼろの身体になってしまうのである。

 私たちが行っている鍼灸・指圧のような「東洋医学」は、いってみれば「自然治癒力主体」の「医療」である。自然治癒力を高め、増強することを目的としている。だから、結果として、自然治癒力を損ねるような、「投薬主体」の「現代西洋医学」とは、一線を引くことになる。だからその点を患者さんに説明した上で、理解を得なければならない。私は、「今度の場合、病院のやリ方と、私たち治療院のやり方は違うので、どちらかに選んでいただけませんか?」と問いかけた。残念ながら、その患者さんからは、「他にも病院で見てもらわなければならないところがありますので……」という返事が返ってきた。ということで次回の予約は、こちらから「キャンセル」させていただいた。患者さんが、どうしてもというのなら、私はいくら自分が行っている治療に自信と誇りを持っていたとしても引かざるを得ないのである。これを「インフォームド・コンセント」という。少し話題が、横道にそれてしまったが、「ホリスティック医療」というものが、何を目的とし、どのような治療を目指しているのか、わかっていただけただろうか?