健康増進に「月一会(ツキイチカイ)」

☆ニュージーランドには、まだ、原生林の森が残されている。これは、その原生林の中のハイキングコースを歩いたときの写真、まわりにはシダがたくさん見られた。太古の森もこんな感じだったのだろうか。この国では時間が止まっている。
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029.gif健康増進に「月一会(ツキイチカイ)」

 来月、6月1日に八倉治療院は、3周年を迎える。「石の上にも3年」というが、とても楽しい3年間だった。私の半生を振り返っても、これほど充実した3年間は、そうざらにはあるまい。しかし、心残りがあるとしたら、「健康維持」「健康増進」の意識が、私の中でイメージ化されていなかったことである。そのイメージがもう少し、私の意識の中でもっと早くに明確になっていれば、より多くの人を助けられたかもしれない。そういう反省が、私のこころの中にはある。

 というのは、私がむかし、治療させてもらった患者さんは、あまりにも70代から80代の高齢者が多かった。私は開業当初から、患者さんに恵まれていた。口コミで治療院には多くの患者さんが見えてくれた。その多くは、肩こり腰痛、膝痛を抱えた高齢者であった。私の治療は、極わずかな治療回数でも、その効果がよく現れた。杖がなければ歩かれなかった方が、杖がなくても歩けるようになった。膝が痛くて正座できなかった方が、座れるようになった。安定剤や睡眠薬を飲まなければ眠れなかった方が、薬から解放されて元気になった。座骨神経痛の痛みから解放された。等など、数え上げたらきりがないくらい、多くの患者さんを健康な身体に導くことができた。そのころの私は、病気がよくなることにだけに意識が働いていた。だから、元気になられた患者さんに喜んでもらえて、「これで卒業ですね。おめでとうございます」という言葉をかけてあげられることが何よりも楽しみだった。

 ところが、喜んでくれて卒業された患者さんの多くは高齢だったために、「健康維持」が、私が思うほど長くは続かなかった。確かに余命の短い高齢者の医療は、大変に難しいものがある。あれほどお元気だった方が、急に元気がなくなってしまったり、思わぬ病気が発生して入院されたりということで、様態が急変する。または、治療院に通って見えた時には、確かに元気で、しっかりされていたのにという方でも、急激に老化が進み「痴呆症」により、判断力が失われてしまう場合等もあった。そういった理由から、急に私の手が届かない患者さまになってしまうことが、大変多くなってしまった。ただ「医療」の世界では、臨床で得た知識や経験は、どのような場合でも役に立つ。特に、はじめに集中的に高齢者を治療させてもらったことで、患者さんに対する配慮の大切さや高齢者医療で大切な多くのことを学ばせてもらうことができた。

 特に高齢者医療で大切なことは、肩こり腰痛の原因の多くは、「内蔵痛」からくる場合が多いということだ。お年寄りの患者さんは、「先生、私は一日中何もし何のですが、どうして肩が凝るのでしょうか?」というようなことをよく口にされる。確かに、腰痛や肩こりの多くの原因である「過労」や「ストレス」は、除外されることが多いお年寄りである。ところが実際には、肩こり腰痛を訴えられるお年寄りは、どの世代よりも多い。これはどうしてかといえば、肩こり腰痛の原因には多くの理由が考えられる。その中に「内蔵痛」といって、「内蔵の機能の低下や、疲労などが原因で肩こりや腰痛を引き起こしている」ことが多い。人間には、わかっているだけで361の経穴(ツボ)がある。そのツボは、まるでレールの引かれた電車のようにからだの中を走っている。だから、イメージ的には、経穴(ツボ)は駅で、経絡は駅をつないでいる路線である。そこを気というエネルギーの電車が、毎日運行しているようなものである。全ての路線は、最終的には人間の五臓六腑に源を発している。だから、電車にも名前がついていて胃系列車。肝系列車、心系列車が毎日からだの中を運行している。それが人間の身体なのである。

 こうして説明すればもうわかってもらえることだろう。私たちが行っている肩こりや腰痛などの治療は、ただ単に筋肉の凝りや神経の痛みを取っているだけではないということだ。つまり、疲れを取って内蔵の働きをよくすることにつながっているのである。だから、治療が終わると、患者さんは元気になる。身体の根本から「健康」を手にするととができるのである。「健康維持」や「健康増進」ということに大切な役割を果たしている。ただし、それには大切な条件がある。治療は定期的に行わなければならないということだ。人間の身体の内蔵機能にも限界があるように「余命」が短くなれば成る程、定期的な治療期間というのは、短くなるはずだ。その線をどこで引くかわ個人差によるが、私は、これまでの臨床経験からいうと60歳以上の患者さんには、1ヶ月に一度は定期的な治療が必要である。それが「月一会」の発想の始まりだった。

029.gif若い人にも必要な「月一会」

 現在、八倉治療院は、患者さんの性別年齢は実に様々である。中でも一番多いのは、パソコンを使う事務系の女性である。パソコンというのは人類のこれまでの歴史上、人に長時間同じ姿勢をとらせることを強制させる機械なのだそうである。同じ姿勢で静止するというのは、筋の緊張からすればとても過酷なことである。それを毎日毎日、強制させられるとなればかなりのストレスになる。だからこそ私たちのような治療院が社会で必要とされるのは、当然の理にかなっているというものだ。だから、こうした患者さんにも「月一会」を勧めている。仕事というのは、いくら辛くてもそう簡単に手放せるものではない。特に、世界中の景気が危機に瀕しているときは、仮に正社員でなくても大切にしなければならない。せめて大切な身体が犠牲にならないように、定期的に治療を行うことは、QOL(クオリティー・オブ・ライフ)を維持していくための必要不可欠な条件である。

 でもこうして問題を総合的に考えてみると、老若男女を問わず年齢はあまり関係ない。先日も20代の若いお母さんが、子供を抱く時に手や腕が痛くて腱鞘炎になってしまったということで治療院にみえた。よく話を聞いてみると過去2回も交通事故にあっていて、その後遺症がまだ残っていた。だから、出産・育児以前に障害になる大変な症状が身体中にあってその痛みにずっと耐えていたのだそうである。私は、その患者さんの全身の症状を治療するのに週1回の治療で2ヶ月以上の期間が必要だった。彼女も辛い治療に少しも弱音を吐かないでついてきてくれた。今ではすっかり、元気になって、今まで苦しめられた辛い症状から99パーセント解放された。それでも、私は、これからも育児になれるまでこの患者さんを見守っていこうと思った。彼女もそのことを望んでいてくれて、「先生、私も卒業する気は、全くはありません。先生がダメといっても私はずっと先生についていきます」ということで、最も若い「月一会」の会員になった。

 「治療」にはいろんな側面が考えられる。病気になる前に症状を食い止めることを「未病治(みびょうち)」という。「予防医療」という最善の治療。そして、「健康維持」というよりも更に発展的に、これまで以上により高いレベルの健康を目指す「健康増進」の治療が実現できれば、どんなに素晴らしいことだろうか。私は、なにかのご縁で私とかかわり合った患者さんをこれまで以上に大切にしていきたい。そのためにも「ご卒業おめでとうございます」はやめて、ご理解をいただいたうえで、この「月一会」に入っていただくことを勧めていきたいと思っている。
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by yakura89 | 2010-05-23 08:40 | 治療方針 | Trackback | Comments(0)
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