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風邪をひいたときには食事を減らす

☆まるで床屋さんで、きれいにカットしてもらったような形をした木。真下から見ても規則正しい雪の結晶のような形をしています。日本では見かけない木で、何という名前の木か知りませんが、ニュージーランドに滞在中よく目にした木です。これは朝の散歩中にとった一枚。
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029.gif 風邪をひいたときには食事を減らす 

 異常気象というのか、今年の4月5月は、とても変な天候が続いています。雨が異常に多かったり、暑くなったり寒くなったりで、寒暖の差が異常に激しくて、まるで山の天気のようです。このような天候は、元気な若い人達には、さほど影響はないですが、小さな子供やお年を召した方には、とても過ごしにくい天候です。ですから、当然厳しい寒さの冬が終わったといっても風邪をひく方がとても多くて、私の治療院でも、「風邪を引いています」という方がいつもの年より多いようです。中には、とても長引いてしまって困っている患者さんもいました。ところで、風邪が長引いている。なかなか治らない。そういう患者さんから「風邪を早く治したいのですが、どうしたらいいですか?」という質問に対して、どのようなアドバイスをしてあげたらいいのでしょうか。

 まずは第一に、「休養」ですね。でもそういう方に限って無理をされる方が多いのです。もし、3日間、完全に休養をとって、しっかり休んでいれば、必ず風邪は治るものなのです。しかし、その間、仕事が忙しいからとか、つい大切な用事があって休めないというようなことがありますと、なかなか治らないということがあります。特に若い時ならいざ知らず、高齢になってきますと、思うように回復せず、いつまでも風邪を長引かせてしまうことになります。せっかく「休養」をとっている間に、あなたの「治す力」=「自然治癒力」が高まってくるところに、「仕事」や「用事」を持ち出してくると、なかなか、「自然治癒力が高まってくるところまでいかずに、ズルズルと細菌にやられて後退してしまうのです。と、まあここまでは誰でもわかっていることだとは思うのですが、なかなか実行できず、薬やサプリメントに頼ろうとするのが、人間の浅はかなところです。

 ところで、意外と知らないというか、わかっていないのが、風邪をひいたときの食事についてです。例えば、「たとえ食欲がわかないにしても、栄養やスタミナのある料理を、多少無理しても、食べるようにしたほうがよい」これは、正解でしょうか?おそらく大多数の人が、「正解」と答えるのではないでしょうか。そういう私も、若い時は、「休養」と「栄養」が、不足してくると風邪を引いてしまうのだと思っていましたから、そんな時にこそスタミナを付けようと思い、焼き肉屋さんにいって、腹一杯お肉を食べたり、お酒を熱燗にしてかなりの量を飲んでいました。でも今から考えれば、これはとんでもないことだとわかります。

 風邪を引くと身体がだるくなります。食欲もなくなります。これは、「疲労」が原因で「五臓六腑」つまり、内蔵や消化器官が疲れているのです。食欲がないのは、内蔵や消化器官を休ませたいので、食べられないように一時的に食欲をカットしているのです。これは、カラダの正常な働きなのですなのです。そこへ持ってきて、スタミナを付けるといって消化に悪い脂っこいものを食べると、いくら野菜といっしょに食べたとしても、身体には大変な負荷をかけてしまうことになります。よくこんな時には、せっかく食べた食事を吐いてしまうことがあります。しかし、これこそカラダは、自分を守ろうとして一生懸命に負荷を取り除こうとしているのです。

 もうわかったと思いますが、「休養」をとるということは、身体を休めることなのですが、一番休めたいのは、「五臓六腑」。内蔵や消化器官なのです。それらの働きがよくなることで、身体の免疫力=自然治癒力が高まってくるのです。だから、「風邪をひいたときには、なるべく食事は減らす」が、正解なのです。極論すれば、食欲がなければ、食事をとらなくてもいいくらいです。人間は、一食や二食くらい食べなくても何も困ることはありません。その証拠に、「絶食」を始めた最初の頃は、もりもり元気が湧いてきて「栄養」で「エネルギー」が、湧いてくるわけではない。ということを実感するときがあります。そこまで書くと誤解を生じると困りますので「栄養」と「エネルギー」の問題は、また別の機会に述べることにしたいと思います。

 でもこれだけは、もう一つ大切なことを述べさせてください。「風邪をひいたときに食べるとしたら、一番いい食べ物は何かわかりますか?」正解は、「おかゆ」です。これならば、消化器官に負担をかけることはありません。そして暖かい食べ物ですから、カラダの芯まで暖まり、内蔵や消化器官に無駄なエネルギーを使わせないですむのです。そういえば、東洋医学では、「気」を大切なエネルギーと考えます。ところでこの「気」ですが、「氣」ともかくことをご存知でしょうか。つまり、「米」は、「エネルギー」の源なのです。だから、日本人は、昔から、「米」を主食としてきました。そして、その「氣」が失われた時には、「風邪」を引くので「おかゆ」にして食べていたのです。昔の人は、何も知識がないと思ったら大間違いです。本当に何もわからなくなってしまったのは、「科学」偏重の現代に生きる私たちなのかもしれません。