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病気で苦しんでいる人に役立つ脳のお話

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 今回も引き続き脳のお話をさせてもらおうと思う。今回は、病気の人に役立つ脳のお話である。この世の中には病気で苦しんでいる方が実に多い。しかし、病気を治すのはそんなに容易なことではない。誰もが苦しみ、もがきながら必死で病気を治そうと闘っている。それでも、なかなか、病気のほうで立ち去ろうとしてくれない。「このままわたしはどうなってしまうだろうか?」不安と恐怖の毎日だろう。そういう人に少しでも、お役に立てれば、治療者として、これほど本望なことはない。今日はそういう人のために、わたしの知っている脳のお話をしたいと思う。

 脳は大きく分けて4つに分けることができる。間脳・脳幹・大脳・小脳の4つである。学説によっては、間脳を脳幹のなかに含めて脳幹という場合もあるが、間脳は、人間の脳の中でも、もっとも重要な部分として、ここでは、少し分けて扱うことにする。何でも大切な部分というのは、大事に扱われる。家でもお城でも、重要な部屋は、頑丈にまもられるように作られている。だから、出入り口のようなすぐ近くではなくて、奥の奥というところに位置する。人間の体も同じである。大切だから、ほかのどこよりも高い位置にあって、頭蓋骨という硬い壁に覆われた頑丈な部屋に納められている。しかも脳幹は、脳の中でも中心部にある。その中でも間脳は、大脳や小脳に覆われて、まるで外敵から守られたお城でいえば本丸の天守閣のようである。脳幹は、正確に言うと、間脳・中脳・橋・延髄それからその下が、脊髄と続く。

 脳幹は、人間が生命を維持していく上で、最も大切な場所である。例えば、呼吸や血流の調整、血圧からホルモンの調整まで行っている。それらをコントロールし命令を出しているのは、すべてこの脳幹で行われている。つまり、人間の意志ではコントロールすることができない。無意識に行われている生命維持装置のカギが握られているのが、この脳幹というところである。人間にとって何が大切かといえば、命ほど大切なものはないだろう。しかし、その大切な命というのは、実は神の領域といえるかもしれない。なぜなら、これは人間の意志で行われているというより、完全に、生命の維持装置は、神の手によってカギを握られているからである。ちょっとそういう言い方が、お気に召さない方もいるかもしれない。なぜなら、「人間は自分から死を選ぶことができるではないか。そういう意味では、人間がカギを握る場合もあるのではないか?」そういうふうに考える人もいるはずである。

 実はそれが、大脳の働きである。人間が人間であることの定義をパスカルは「人間は考える葦である」といっている。「感じる。考える。体を動かす」これは、人間の意志で行われている。少なくとも、顕在意識で行われている。そのほとんどが大脳の働きによるものである。少なくとも、体を動かす。高度なバランスをとる感覚。スポーツのセンスに関係する複雑な運動は、小脳の働きによることが多いが、大部分の生活で必要な活動や運動は、神経や筋肉と直結した大脳が行っている。その他には、記憶力もこの大脳の忘れてはならない働きである。よく「あの人は、頭がいい。とか、頭が悪いとか」そういう人間の評価の対象は、そのほとんどが、この大脳の働きにかかわっている。そういう意味では、もちろん、大脳が人間にとっていかに大切であるかはいうまでもない。

 では病気で困っている人は、どこに問題があるかといえば、間脳・脳幹の問題である。特に先にあげた内蔵を動かすとか、睡眠や呼吸や血流や体温、ホルモンを調整する。そういう生命の維持に関することになると、自律神経の働きに関わってくる。その自律神経をコントロールしている中枢機関が間脳なのである。だから、病気の人が困っている症状の多くが、この間脳や脳幹の問題なのである。人間はもちろん誰でも一人で生きていくことはできない。しかし、多少頭が悪くても、運動する能力が不十分でも、社会や人の助けがあれば、生きていくことは、不可能なことではない。しかし、これらの装置が、自由にコントロールできなくなると、一時として生命を維持することができない。

 人は自らの意思で生きていると自覚しているかもしれないが、もしかしたら、神の意志によって、「生かされている」というのが正確な表現かもしれない。人間の脳の仕組みや働きを見ていくと、そう感じざるを得ないようなものがある。そういった神秘的な何かを持っているのが、人間の脳である。そのくらい大切な脳なのだが、その中でも最も大切なのが、間脳であり、脳幹なのである。では、その部分に問題を生じている病気の人は、いったいどうすればいいのだろうか?間脳や脳幹の問題はどのように解決すればいいのだろうか?はたして病気の回復はあり得るのだろうか?それが最も知りたいところだろう。

 間脳・脳幹を活性化するにはどうしたらいいか。それは、「笑う」ことだ。「嬉しい」「楽しい」「しあわせ」という感情の働きは、間脳・脳幹の働きを活性化させる。それから、さらに「気持ちがいい」「美味しい」という感覚は、「嬉しい」「しあわせ」という感情に繋がるので、これも活性化させる。どうもわたしたち人間のからだは、嬉しい。楽しい。しあわせ。の頭をとって「うたし」を思考しているようだ。最近は、ホリスティックな医療をめざしている病院では、院内での「落語」が盛んに行なわれているらしい。人間は「笑う」ことで、脳から「エンドルフィン」が産出されていることが科学的に証明されているからである。前にも、指圧や鍼灸の治療が進むとエンドルフィンが産出しやすくなる。それも、「気持ちがいい」ということが引き金になる。どうも人間の脳もこころも身体も、みんな「よろこび」たがっている。それを望んでいるように見える。

 そういえば、患者さんを見させてもらってわかることは、楽天的な考え方が出きり患者さんは、病気になりにくい。また、病気になったとしてもすぐに回復してしまう。どうも人間のこころと身体は、密接に深い関わりを持っていて、互いに影響しあうことは間違いない。ところが残念なことに、健康ではない人は、身体だけではなく、自分のこころの中に「闇(やみ)」をもっていて、いつも自分で自分を苦しめている。だから、いつまでたっても、病気から解放されることがない。いえることは健康も幸福も自分の考え次第である。病気も不幸も自分自身がつくり出している。そのことに早く気がついてほしいと、わたしたちの脳や身体は、そう望んでいる。
by yakura89 | 2011-12-11 09:03 | 脳のお話