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脱ステロイド剤、漢方薬療法編

 脱ステロイドで次ぎに私が考えたのは、「漢方薬」である。西洋医学の医薬品とどのように違うのか?西洋医学の医薬品は、「化学物質」のイメージがある。症状に対しては、効果が発揮されるが、「化学物質」である以上、肝臓や腎臓を痛めることは間違いない。それに対して、「漢方薬」は、基本的には天然素材の「生薬」だということ。天然に産出する植物の種子、葉、根茎、根などを乾燥させるなど簡単な操作を加えたものを刻んで用いる。また、少数ながら、貝殻、昆虫なども用いるが、これらを総称して生薬(しょうやく)という。もちろん、薬局や病院で処方される「漢方薬」は、生薬のエキスをインスタント化されたものであるが、「証(個人の体質)」さえ合っていれば、あまり副作用の心配がいらない。そういった点で、西洋の医薬品よりも漢方薬の方が、人体に与える「毒性」が低いと考えたからである。私は、ライフログに出したように「漢方薬」の情報を得ているのは、社団法人日本東洋医学会学術教育委員会編集の「入門漢方医学」南江堂である。よく整理された本で読みやすい。それに漢方だけではなく、ハリやきゅうなどの基本的なことも書かれているので私には役に立つ本である。そして、最近購入したのは、菊谷豊彦の「漢方でこう治す」保健同人社。これは、素人向けにわかりやすく書かれている。しかも、漢方薬に対する知識が素人でもわかる入門のさらに入門書である。この二つは、ためになるし即使えるのでいつも手元に置いては活用している。そして最新の情報は、漢方薬のツムラからメールで送られてくる「漢方スクエア」メールマガジンから情報を得ることにしている。ちょうど2009年2月10日発行の89号に「花粉症」についての情報があった。その中でもこの時期役立ちそうなものがあったので紹介したいと思う。

『花粉症と漢方』
吉田悌友先生(吉田耳鼻咽喉科クリニック院長[埼玉県越谷市])

☆花粉症は多様な疾患オーダーメードが求められる

 花粉症は単純な疾患と撮られがちですが、実は、多様な病型・症状・感受性・環境変化・患者ニーズなどが重なり合い、まさにオーダーメード医療が必要とされます。従って、治療手段を豊富に持つことは医師にとっては強みとなります。
 西洋薬ばかりではなく漢方薬も組み合わせることにより、多様なニーズに対応が可能となります。特に激しい発作期には意外と思われる方も多いと思いますが、漢方薬が有効な手段となります。

☆激しい発作期のコントロール、これが漢方薬の醍醐味

 花粉症で処方する漢方薬として、圧倒的に多いのが「小青龍湯」です。ただ、小青龍湯は「麻黄」が含まれるため、いもたれなど胃腸症状が現れた場合には、小青龍湯から麻黄を省いた「苓甘姜味辛夏仁湯」を処方することもあります。
 冷えの強い方、女性で夏場の冷房に弱い方には、脈診や粘膜の所見を診て、「麻黄附子細辛湯」を用いることもあります。
 発作期で、目が真っ赤になり、鼻水が止まらない方には「大青龍湯(麻黄湯+越婢加朮湯)」を用います。ベタメタゾン、d-クロルフェラミンマレイン酸塩配合剤(これらはステロイド剤です)でも無効であった症例に、「大青龍湯」が劇的に効いた経験もあります。これが漢方の醍醐味といえるのではないでしょうか。
 「大青龍湯」はエキス剤にはありませんので、「麻黄湯」と「越婢加朮湯」を組み合わせて処方します。この時、麻黄の量が増えるため、麻黄湯と越婢加朮湯5.0㌘分2で用います。体が大きく、若くて、元気な方には7.5㌘ずつ分3でも良いでしょう。
 ただし、上述の通り麻黄の量が多いという理由から、高血圧や前立腺肥大、高齢者には適しません。若くても高血圧の方には要注意です。高齢者には「小青龍湯」や「麻黄附子細辛湯」が向いています。容量と適応には十分留意すべきでしょう。

☆小青龍湯をシーズン前に予防投与発症しても症状軽く改善しやすい

 花粉症に対する漢方治療は、基本的には抗ヒスタミン剤と併用しています。眠気の少ない第2世代型抗ヒスタミン剤を中心に、麻黄剤を組み合わせることで眠気も防止できますし、症状もコントロールしやすくなります。特に、受験生などには眠気が出ないように、「小青龍湯」や「葛根湯加川弓辛夷」を処方します。基本的には「小青龍湯」を用い、鼻閉が症状の中心になると「葛根湯加川弓辛夷」を処方します。漢方単独投与もありますが、特別な事情がない限りは抗ヒスタミン剤と併用します。
 また、花粉症はシーズン前の予防が大事です。発作を起こしてから、症状を止めるのは難しくなります。そこで、「小青龍湯」を1月位から予防的に投与することをお勧めします。症状が出始めたら抗ヒスタミン剤を併用しますが、この場合、症状も軽く、改善しやすくなります。

☆まずは効果を実感すること

 患者への生活指導としては、洗面や手洗い、うがい、マスクの着用の励行が挙げられます。室内を乾燥させないように加湿することも大切です。
 近年、花粉症などアレルギー疾患の低年齢化が進んでいますが、花粉シーズンに抗原に暴露させないようにすることはもちろん、高脂肪、高カロリーの食事を避け、バランスのとれた食生活をおくることも重要です。
 最後に、治療に際しては西洋薬と漢方薬それぞれの長所を組み合わせて、処方を工夫することが肝要です。特に漢方治療は、患者の体質にあった投薬を古くから行ってきました。つまり、漢方治療という技を持つことは、オーダーメード医療を実現することにもつながります。
 漢方薬を処方されたことのない先生は、「小青龍湯」など用いやすい漢方薬から試してみてはいかがでしょうか。まずは効果を実感することが大切です。

♣花粉に対する漢方処方

☆大青龍湯(麻黄湯+越婢加朮湯)……身体が大きく、若くて体力があり、症状が重い。

・葛根湯加川弓辛夷……………………鼻閉が強い。

・小青龍湯………………………………代表的処方。

・麻黄附子細辛湯………………………冷えが強い女性や高齢者向き。

・苓甘姜味辛夏仁湯……………………小青龍湯で胃もたれなど胃腸症状が出た場合。


 以上が、「漢方スクエア」89号からの抜粋である。この記事を書いているのは、近代西洋医学の医師ということもあって、西洋薬と漢方薬の併用を勧めているが、もちろん、漢方薬だけでも充分対応できる。特に「脱ステロイド剤」を実行される方は、☆の「麻黄湯」と「越婢加朮湯」の組み合わせは大変効果が期待できるだろう。そして、もし体質に合わない、体力が普通程度の方は、これ以外に☆「小青龍湯」と「五虎湯」の組み合わせをお勧めしたい。こちらも「脱ステロイド剤」に対して十分有効に働いてくれるであろう。



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