タグ:コペルニクス的転回 ( 1 ) タグの人気記事

☆カナダ・バンクーバーのスタンレーパークで見かけた野生のリスくん、わたしの足下まできてくれたので、このアングルから写すことができた。
e0167411_17281133.jpg


029.gif医療におけるコペルニクス的転回

 コペルニクスというのは、16世紀の天文学者。それまでは、人間は、地球が宇宙の中心で太陽やその他の惑星は、地球を中心にそのまわりを回っていると信じていた。これを「天動説」というが、コペルニクスの登場で、現在のような、地球が太陽のまわりを回っているという「地動説」に変更されるようになった。これまでも「地動説」を唱えたものがないわけではなかったが、1543年に彼が思索をまとめた著書『天体の回転について』は、地動説の測定方法や計算方法などが記されており、「地動説」が正しいことを人々に認識させる有力な手がかりとなった。それ以来、コペルニクスは「地動説」の創始者となった。

 これまでの認識を、180度変えさせることを「コペルニクス的転回」というが、これは本当にすごいことである。特に人間の認識方法は、「見たものがすべて、見たものしか信じない」おそらく科学が今日のように発展する以前から、人間の本能的な習性としてそういう認識方法が備わっていたことだろう。もし今のように科学の発展がなかったら、「地球が動いている」なんていうことは、誰にも簡単に受けいられることではない。どうしたって、人間の目で見る世界は、太陽や月や惑星が、地球を中心に動いているとしか見えないことだろう。それを地球が動いているというふうに認識するには、ものの見方考え方を、これまでとはまったく180度転回しないと認識は不可能である。だから、「地動説」が天文学史上、最大の発見であるといわれているのは、誰もが認めることであろう。

 しかし、「コペルニクス的転回」というのは、なにも科学や天文学上の世界ことだけのことではない。医療の現場にもコペルニクス的転回といえるものがある。わたしは、開業以来、師匠から、「あなたが患者さんを治しているのではなく、患者さん自身が持っている治す力(自然治癒力)を引き出すお手伝いをさせていただいている」という自説の「治療の主体」に対して認識を改めなければならなかった。これも「コペルニクス的転回」のひとつかもしれない。普通は、「医者や治療者が患者の症状や病気を治す」というのは、世間一般の見方であろう。ところが、「症状や病気を治すのは患者さん自身であり、治療者は、そのためのお手伝いである」というように、「治療の主体」が、明らかに違うのである。でもそのように認識を改めることは、わたしにとってそんなに容易なことことではなかった。師匠から何度も注意をいただいても、どうしても、「治療」に体する思い込みなのか、「わたしが、患者さんの症状を治している」という認識からはなれることができなかった。

 しかし、最近、臨床経験を積むに従って、人間が本来持っている治る力(自然治癒力)というものに注目するようになってからは、意識が変わっていった。人間の脳はすごい力を持っていて、エンドルフィンというまるで魔法のような物質を分泌することで、痛みや症状を消し去ってしまう。そういう偉大な力が働く様子を治療の過程で自分の目で確かめてくると、「これはとうてい、人の力が及ぶところのものではないな」ということが、わたしにもはっきりと理解できるようになってきたからだ。師匠がいうように治療者は、その偉大な力のメカニズムが上手く働くようにお手伝いさせてもらっているだけなのだ。そんなふうにいつしかわたしの考え方や認識がコペルニクス的転回を始めたのである。

 まさに今わたしが考えていることは、「人間の体は完璧そのもの」であり。師匠のいわれるように「人のからだは、神そのもの」なのかもしれない。師匠はまた、さらにわたしに、こういうふうにいわれたこともある。「あなたは、患者さんのからだを治しているような気持ちになっているのかもしれませんが、それは大きな誤りです。実は、患者さんのからだが、あなたという治療者を選び。あなたに治させているのです」という言葉は、まさに、「コペルニクス的転回」そのものであるといえる。最高に高度な医療があるとすれば、「人が患者さんを治す」というのではなくて、「自然治癒力」という神の偉大な力が働くようにしむけていくことをいうのではないか。そのような「コペルニクス的転回」に認識転換がなされた医者や治療者が増えてくることが医療革命の第一歩のように考えているのはわたしだけであろうか。
[PR]